韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が凶器を持った男に襲撃された後、救急ヘリを利用してソウル大学病院に転院したことを巡り、不正請託による特別待遇を受けたのかどうかについて国民権益委員会(権益委)が調査に着手した。鄭勝允(チョン・スンユン)権益委副委員長兼事務処長は16日、記者会見を開いて「救急ヘリを利用して釜山大学病院からソウル大学病院に移送された件に関連して、不正請託や特別待遇提供に当たるかどうか調べてほしいという複数の申告が今月3日、権益委で受理された」とし「権益委は、関連法令に基づき、公正かつ透明に事実関係を確認する予定」と表明した。
李代表は今月2日午前10時25分ごろ、釜山市江西区の加徳島新空港敷地で取材陣の質問を受けていたところ、男から襲撃を受けた。李代表は10時52分ごろ、救急車とヘリの便で釜山大学病院に移送されて治療を受けた後、午後3時20分ごろ、再び救急ヘリによってソウル大学病院に移された。
これを巡り、医療界の一部から「重度外傷患者を十分に治療できる釜山大学病院から、ソウル大学病院に李代表が移ったこと自体が『医療ショッピング』かつ『甲チル(優越的地位を利用した無理強い)』だ」という批判の声が上がった。一般人であれば、同じ状況でヘリ移送を受けることができただろうか-というわけだ。大韓小児青少年科医師会は今月8日、李代表と千俊鎬(チョン・ジュンホ)民主党党代表秘書室長など、ヘリ移送関係者らを業務妨害と応急医療法違反の疑いで検察に告発した。
権益委には、李代表側が救急ヘリを利用した転院要求を行ったことは請託禁止法上の「不正請託」に該当し、消防当局や釜山大学病院などがこの要求を受け入れたのは公務員活動綱領が禁じる「特恵提供」に該当する、という内容の通報が行われたという。権益委は、この事件を今月8日に担当部門へ割り当て、腐敗防止権益委法が定める申告事件処理手続きに基づいて調査を進める計画だ。まず、通報者に対して通報内容に関する事実関係の確認を行い、次いで消防当局と釜山大学病院を対象に調査を進めることになる。調査の範囲がソウル大学病院や李代表側に拡大されることもあり得る。この過程で権益委が「李代表側は不正請託を行ったものと疑われる」と判断したら、権益委は事件を捜査機関や監査院、関連部処(省庁に相当)などへ移管することになる。事件の移管を受けた機関は、60日以内に捜査・監査などを進め、結論を出さなければならない。
キム・ギョンピル記者