「北が解体した」監視哨所、検証も行わず信じてしまった文前政権【1月16日付社説】

 文在寅(ムン・ジェイン)前政権は2018年、9・19南北軍事合意実行の状況を確認するため、北朝鮮の最前線監視所(GP)に対する現場検証を行ったが、その際地下施設が実際に破壊されたか確認しなかったという。文在寅前政権は同年12月「北朝鮮GPの地下施設は爆破あるいは埋設されたことを確認した」「監視所としての任務遂行はもはや不可能」と発表した。ずさんな検証に加えて虚偽の発表をしていたのだ。韓国国防部(省に相当)は先日この疑惑に対する調査を開始した。

【図】「北が解体した」監視哨所10カ所

 韓国と北朝鮮は9・19合意に基づき非武装地帯の全てのGP撤去を決め、まず南北間の距離が1キロ以内の双方のGP11カ所を試験的に撤去した。韓国側の検証チームは北朝鮮がGPを破壊してからおよそ20日後に現場検証を行ったが、北朝鮮軍の妨害で地中レーダー(GPR)などの観測機器を持ち込めず、内視鏡なども使えなかった。つまり専用の機器を使った検証はできず、わずか1時間30分肉眼で確認しただけで終わったという。

 韓国軍の監視所は要塞(ようさい)が中心だが、北朝鮮は監視所を地下要塞化している。そのため合意が実行に移されたか確認するには地下施設が本当に破壊されたか検証せねばならないが、実際は形だけで終わっていたのだ。当時現場検証チームは北朝鮮から戻った際「不能化に対する疑念は完全に払拭されていない」と報告したが、これも黙殺された。当時文前大統領が「南北相互のGP撤収と検証はそれ自体が65年にわたる南北分断の歴史において新たな節目だ」と自画自賛した。当時文在寅前政権は存在もしない金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の「非核化の意思」を本人に代わって宣伝し続けていた。

 北朝鮮は不能化したはずのGP地下施設を昨年末から実際に使用しており、その徴候もすでに補足されている。北朝鮮だけでなく世界の共産党体制にとってこの種の欺瞞(ぎまん)は国家戦略のまさに基本だ。北朝鮮は1994年のジュネーブ合意でも非核化に応じるかのように国際社会を欺いた。北朝鮮は2008年6月に米国務省関係者が見守る中で寧辺核施設の冷却塔を爆破したが、これも完全な欺瞞だった。北朝鮮は今も寧辺核施設を稼働している。北朝鮮の欺瞞も問題だが、韓国国内にその欺瞞に喜んでだまされようとする勢力が存在することの方がより深刻な問題だ。

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  • ▲2018年11月20日午後、「9・19南北軍事分野合意」に基づき試験的に撤収が決まった非武装地帯(DMZ)内の監視哨所(GP)10カ所が爆破された。韓国国防部(省に相当)が明らかにした。写真は中部戦線北側GP爆破当時の様子。/韓国国防部提供
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