中距離弾道ミサイルを発射して韓国向けの宣伝放送を中断…不穏な動きを見せる北朝鮮

韓国に対する「交戦国」宣言後、最初のミサイル挑発…「極超音速ミサイル」あるいは新型IRBMか

中距離弾道ミサイルを発射して韓国向けの宣伝放送を中断…不穏な動きを見せる北朝鮮

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が南北関係を「敵対的交戦国関係」と規定し、韓国関連の事業機関に対する整理・改編を指示したことに伴い、韓国向けの宣伝放送がストップするなど関連する動きも次々と表面化している。北朝鮮がかつて韓国に潜入したスパイに指令を伝えていた「平壌放送」も12日午後から受信できていない。この放送はかつて夜12時ごろに金日成(キム・イルソン)主席や金正日(キム・ジョンイル)総書記を称賛する歌を送り、直後に乱数を読み上げスパイらに指示を伝えていた。

【写真】2022年の北朝鮮軍事パレードで初めて公開された極超音速ミサイル「火星8型」

 北朝鮮が統一戦術の一環として運営してきたさまざまな南北交流協力機関やその関連団体も整理が進められている。北朝鮮メディアは13日、金正恩氏の指示で「対敵部分幹部らによる決起集会が行われた」とした上で「6・15共同宣言実践北側委員会、祖国統一汎(はん)民族連合北側本部、民族和解協議会、壇君民族統一協議会など関連団体を全て整理することにした」と伝えた。

 北朝鮮の対外宣伝用ウェブサイト「ネ・ナラ(私の国)」などでも統一を強調する内容が削除された。「わが民族同士」「統一のメアリ(こだま)」「リュギョン」「朝鮮の今日」「黎明」など北朝鮮の対南宣伝用ウェブサイトも今月11日からアクセスできない状態が続いている。対南機関の整理によりこれらも改編が行われているようだ。

 一方で北朝鮮は14日午後に東海に向け中距離クラスの弾道ミサイルを発射した。韓国軍当局はこのミサイルについて「2021年から試験発射が行われてきた極超音速ミサイルあるいは固体燃料を使った新型中距離弾道ミサイル(IRBM、射程距離3000-5500キロ)の可能性が考えられる」と推測し、分析作業を進めている。

 韓国軍合同参謀本部は同日「午後2時55分ごろ、平壌周辺から東海に向け北朝鮮が発射したミサイルは約1000キロ飛行し、東海上に着弾した」と発表した。北朝鮮による弾道ミサイル挑発は今年に入ってこれが初めてで、昨年12月18日に大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射して以来27日ぶりだ。

 極超音速ミサイルはスピードがマッハ5(時速6120キロ)以上で、平壌からソウルまで1-2分で到達することから、今の迎撃システムでは打ち落とすのは難しいとされている。日本の防衛省は同日「北朝鮮ミサイルの最高高度は50キロ以上と推定される」との見方を伝えたが、これはこれまで北朝鮮が試験発射を行った極超音速ミサイルの最高高度(30-60キロ)とほぼ同じだ。韓国軍はこのミサイルについて「北朝鮮が昨年11月に開発を終えたと主張している固体燃料エンジン搭載の新型IRBMの可能性が高い」と推測している。固体燃料IRBMは液体燃料ミサイルとは異なり燃料注入の段階が不要のため奇襲攻撃が可能だ。

キム・ミンソ記者

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