-頼候補は完全な台湾独立主義者だと思うか。
「長い間見守ってきたがそうだ。台湾独立に対する強い意志を何度も強調し、大陸(中国)は既に頼清徳を『救いようのない独立主義者』と評価している」
-頼候補が政権を握れば戦争が起きるのか。
「はっきりしない。政権獲得の過程での発言にかかっている。頼候補が選挙に勝った場合、慎重な言動で中国との衝突を避けることを台湾人も望むだろう。大陸の『台湾独立』を巡る態度は「戦争も辞さない(不惜一戦)」ということだ。米国も両岸関係がぎくしゃくすることは望んでも、台湾独立を目指すことまでは望んでいない」
-頼候補は任期中に現職の蔡英文総統よりも独立を追求するか。
「そう思う。台湾は既に主権独立国家だと主張しており、彼の過去の行動を見ても、台湾独立の道に背を向けるとは考えられない。頼候補の政見に『文化基本法』の制定があるが、大陸はそれを台湾独立に向けた立法の試みとみている。改憲は難しいので、新法を作って台湾独立を推進しようとしているのだ」
-中国が台湾の態度とは関係なく、内部的な必要に応じて台湾に侵攻する可能性もあるのではないか。2027年と35年がよく指摘される。
「Notimpossible, unlikely(あり得なくはないが、可能性は低い)。台湾と大陸の交流が続いており、双方の民間の感情は悪くない。両岸交流で和解を目指すことが可能だ。しかし、民進党は有利な立場に立つために対立状況を望んでいる」
-中国が巨大化したから、武力衝突は避けようと言っているのか。
「中国本土は全ての面で台湾の数十倍、あるいはそれより大きい。そうした力の差は我々に不利だ。そのため、武力ではなく、対話で解決しなければならない」
-あなたが積極的に仲裁を進めた国民党と第2野党・台湾民衆党による候補一本化(藍白合、藍と白は両党のシンボルカラー)はなぜ実現しなかったのか。
「誰が総統になり、誰が副総統になるか結論を出せなかったからだ」
-最後まで国民党は「藍百合」を期待しているようだ。
「両党の候補一本化の試みは終わった。ただ、連立政権の可能性は残している。後から行政院長(首相に相当)など重要なポストなどを譲る方式で協力すればいいので、(国民党に票を集中させる方式で)まずは戦いに勝つことが重要だ」
-今年の米大統領選でトランプ前大統領が当選すれば、台湾海峡の状況はどう揺れ動くか。
「両岸関係の役には立たないとみられる。トランプ氏は急進的な観点と強硬な立場を持っている。台湾海峡でいかなる譲歩も拒否するだろう。トランプ氏に比べ、バイデン大統領は予見可能だ」
-青年たちの関心が中台問題よりも民生問題に向いている姿がみられる。出生率も非常に低い。
「青年たちの関心テーマの変化は強くは体感できない。私の総統任期中は、誰も戦争を考えない正常で平和な時代だった。しかし、今は戦争の危険を感じているので、誰が子供を産むだろうか」
-侯友宜候補が当選すれば、半導体産業が中国にシフトするという危機意識もある。
「あまりに悲観的な考えだ。互恵的な経済・貿易の分野で互いの態度は比較的穏健だ」
台北=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員