韓国の進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に向けて凶器を振り回すなど殺人未遂の疑いが持たれている容疑者について、警察側が身元情報を公開しないと決める中、米紙ニューヨーク・タイムズは既に李代表襲撃のニュースを伝える際に容疑者の実名をそのまま報じていたことが判明した。
今月3日(現地時間)、ニューヨーク・タイムズ紙は「野党指導者に対する凶器襲撃、二極化した韓国に警告を発する(Knife Attack on Opposition Leader Raises Alarms in Polarized South Korea)」というタイトルの記事を通して、李在明代表が襲われたニュースを伝えた。
同紙は「李在明代表の首を刺した容疑で起訴された男性は、先月13日に李在明代表が出席した政治イベントに同席するなど、ここ数週間にわたって李代表をストーキングしてきており、映像に捉えられたものとみられる」「警察は、容疑者が青い紙の王冠を着けていると語った」と伝えた。
続いて「火曜日(2日)の集会で、似たような紙の王冠を着けて李在明代表を支持するメッセージを持っていた男性は、別の物も持っていた。5インチ(約13センチ)の刃と、テープで巻いたプラスチックの柄だった」「韓国の政治家に対する最悪の攻撃で李在明代表は深刻なけがを負い、関係者らは、李在明代表が手術後、ソウル大学の集中治療室で回復しつつあることを明かした」と記した。
さらに、犯行の場面を捉えた映像を公開すると共に「韓国メディアの映像では、襲撃犯の姿がモザイク処理された」と付け加えた。
この過程でニューヨーク・タイムズ紙は、襲撃犯の年齢、職業をはじめ実名まで明らかにしていた。同紙は「警察は、不動産仲介業のキム〇〇(66)が李在明代表を殺害しようとしたことを認めた、と明かした」「関係者らは、容疑者が2012年から峨山で不動産仲介業を営んできた元公務員だということ以外、容疑者の私生活や政治的背景などについて分かっていることはほとんどないと語った」と報じた。
さらに「警察は、容疑者について前科や麻薬使用・精神科関連の前歴を見いだせず、近隣の人々は彼とほとんど交流がなかったと語った」「裁判所が発布した令状を通して、警察は容疑者の携帯電話を押収し、またソウル南方の峨山にある彼の自宅や事務所を捜索し、今回の襲撃の動機をつかもうとしている」とつづった。
一方、釜山警察庁は9日、被疑者身上情報公開委員会を開き、容疑者の身元について公開するかどうか話し合った末、公開しないと決定した。この日、計7人が出席した会議で、容疑者の身元公開に同意した委員は3分の2に達しなかったと伝えられている。
「特定強力犯罪の処罰に関する特例法」によると、殺人・殺人未遂や性暴力などの凶悪犯罪の被疑者の場合、身元を公開できることになっている。▲犯行が残忍で被害が重大な場合▲犯罪に及んだと信じるに足る証拠が十分な場合▲国民の知る権利の保障など公共の利益のため必要な場合-などの要件が満たされれば、身元の公開が可能だ。
警察は、犯罪の残忍さと重大な被害、確保した証拠と国民の知る権利などを考慮しつつも、今回の事件は公開事案に該当しないと判断し、身元非公開の決定を下した。また、政党法を理由に、容疑者の党籍も公開しないこととした。
容疑者は今月2日午前10時27分ごろ、釜山市江西区の加徳島大項展望台を訪れた李代表の首の部分を凶器で刺した疑いにより、4日に身柄を拘束された。
イ・ヘジン記者