学校でのスポーツクラブも活性化を促す。中学校のスポーツクラブの時間は現在「3年102時間」だが、これを「3年136時間」へと30%拡大する。夏と冬の休み期間に参加できる「スポーツキャンプ」も新たに実施される。
韓国政府が体育の拡大を決めた理由は、韓国の児童生徒たちは運動量が他の先進国に比べてあまりに少ないからだ。世界保健機関(WHO)が2019年に世界146カ国の11-17歳の児童生徒を対象に運動の実態について比較調査を行ったところ、1日平均60分以上、中間レベルの身体活動も行わない「運動不足」の割合は韓国が94.2%と最も高かった。つまり韓国の子供たちは同じ年代の世界の子供たちと比べて最も運動しないのだ。韓国では放課後に運動する児童生徒の割合も42.9%で、これは経済協力開発機構(OECD)が加盟国を対象に2017年に行った調査で最下位だった。
とりわけコロナ渦の影響で自宅にいる時間が増えたことで、児童生徒の体力はさらに大きく低下した。PAPSで最も成績が低い4等級・5等級となった児童生徒の割合は2019年は12.2%だったが、22年には16.6%と一気に増えた。この期間、体重が適正よりも重い肥満の割合も25.8%から30.5%にまで増加した。
専門家は「韓国では学校での運動量が少ないだけでなく、放課後も児童生徒たちは勉強ばかりで運動する時間が足りない」と指摘する。小学校低学年でさえいわゆる「先行学習」のため塾などを幾つも掛け持ちするケースが非常に多いのが韓国における子供たちの生活の実態だ。大学入試を目前に控えた高校生に至っては学校で運動などほぼしない。これに対して米国や英国など先進国では学校で子供が小さいほど体育の時間を重視しており、高校生たちも運動に熱心に取り組んでいる。
成均館大学教育学科のペ・サンフン教授は「運動をたくさんすれば友人との関係が良くなり、校内暴力を減らせるのはもちろん、メンタル面でのさまざまな問題も減少するだろう」「体育はむしろ勉強にプラスになることを政府はもっと広く積極的に知らせるべきだ」とコメントした。
崔銀京(チェ・ウンギョン)記者