さらに深刻な問題は、姜部長判事と共に同裁判部の陪席判事2人も来月交代する可能性が強いということだ。通常、刑事合議部の裁判長は2年、陪席判事は1年で交代するという裁判所の内部規則があるから。重要事件の裁判は、裁判の進行過程で起きたことや陳述のニュアンスなども判事の有罪・無罪の判断に影響を及ぼす。ところが裁判部が丸ごと変わると、こうした過程が全て途切れ、裁判はさらに遅れることになる。このこと自体が不義だ。この事件の裁判の進行過程を見ると、これは不義を超えて司法への介入、司法籠絡に該当する。
今後、こうしたことがさらに起きる可能性もある。大庄洞開発を巡る汚職疑惑の民間業者関連事件を審理していた裁判部も、来月の異動で交代の対象になっており、李代表の大庄洞・ペクヒョン洞汚職疑惑の裁判長も来年2月の交代対象だ。大庄洞・ペクヒョン洞汚職事件は捜査記録だけでも数百冊に達し、来年2月までの判決言い渡しが難しいこともあり得るとの見方が多い。だとすると、これらの裁判部も、判決言い渡しをしない状態で判事が離任することになりかねない。裁判を進めるふりをするだけで判決の言い渡しは後任の裁判部に押し付けるという、判事たちの「ババ抜き」が、各所で起こりかねないのだ。裁判所の内規を変えて刑事専担の裁判官を置くなど、大法院(最高裁に相当)レベルで対策を整備すべきだ。
李代表の拘束令状の審査を担当した判事は令状を棄却した。令状は棄却できる。しかし、その論理と法理は明確であらねばならない。ところが担当の判事が提示した法理は、人々をいぶかしがらせた。李代表の事件で関係者およそ20人が身柄をF拘束されたというのに、肝心の本人の令状が棄却された点も納得し難かった。その上、今度は、常識のある人間ならば誰でも判断できる虚偽事実公表事件で、裁判長が判決言い渡しを前に辞表を出して逃げ出すようなまねをした。今、李代表側は裁判を遅らせようと、持てる手段を動員して司法制度を籠絡している。姜圭泰判事は、この籠絡に加担したと見なすほかない。