犬食用禁止法成立直後に韓国「犬肉のメッカ」牡丹市場に行ってみた【ルポ】

 この日国会では食用目的の犬の飼育と食肉処理を禁じる「犬食用禁止法(犬の食用目的の飼育、食肉処理および流通などの終息に関する特別法)」が本会議で成立した。犬食用禁止法は食用目的で犬を飼育・繁殖し、食肉処理する行為はもちろん、犬または犬を食材として調理や加工した食品を流通・販売した場合も処罰される。

 今後は食用目的で犬を処理した場合は3年以下の懲役または3000万ウォン(約330万円)以下の罰金、飼育・繁殖・流通した場合は2年以下の懲役または2000万ウォン(約220万円)以下の罰金となる。合法と違法の境界線にあった犬肉販売が今後明らかに法律に反する行為となった。この法律は3年の猶予期間を経て2027年から本格的に施行される。

 牡丹家畜市場商人会には短くて20年、長い場合は40年近く犬肉を販売してきた店が多い。彼らにとって犬肉は数十年にわたり生活を支えてきた手段だった。今回成立した犬食用禁止法は数十年続いてきた彼らの生活を根本から変えてしまうだろう。

 大きな変革を前に家畜通りの店主たちからはさまざまな意見が聞かれた。一部は怒りを隠そうとしないが、その一方で「いくら犬肉にこだわっても、すでに時代の流れから大きく外れてしまった」と現状を認める声もあった。

 牡丹家畜市場商人会のキム・ヨンボク会長は「客はどんどん減っているし、その中でも犬肉を買い求める客は今や10人に1人か2人ほどだ」「この際犬肉の商売はやめて、黒ヤギを看板メニューにしようと思う」と語った。

 牡丹家畜市場商人会は2016年に城南市と「牡丹市場環境整備業務協約」を取り交わし、生きた犬を並べる行為、見える場所で食肉処理する行為をやめた。十数年にわたり続いてきた犬の食用問題を意識した決定だった。

 それから8年で生きた犬はもちろん、犬肉も扱えないほど市場を取り巻く環境は急速に変わった。かつて補身湯(ポシンタン=犬鍋)を売っていた一部の店の前ではその痕跡もなく、古い賃貸の看板や横断幕が風になびいていた。

 閉店したある補身湯食堂の隣で野うさぎやキジ、ガチョウなどの肉を販売するある商店主は「5年前に犬肉商売をやめた時点で、犬肉を買い求める若い人は1年に1人もいなかった」「法律で売るのを禁止してもしなくても、年寄りの客が来なくなれば長くはもたない。犬肉の店は消えるだろう」と語った。

 商店主らは「犬肉通り」という汚名を完全になくすため、今後この通りに黒ヤギ通りを立ち上げる計画を進めている。売るものさえ変えれば、毎月4と9のつく日に賑わう牡丹市場から多くの客がやってくると期待しているようだ。

ユ・ジンウ記者

【写真】販売中の犬肉

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  • ▲食用目的での犬の飼育、食肉処理、流通などを禁じる特別法が国会で成立する直前の9日、京畿道城南市の牡丹伝統市場の家畜通りを取材した。/ユ・ジンウ記者
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