【ソウル聯合ニュース】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)が日本の岸田文雄首相に能登半島地震に対する見舞いの電報を送ったことについて、韓国政府系シンクタンク、統一研究院のソ・ボヒョク研究委員は8日、韓国を排除して日本と直接対話に乗り出す「通日封南」戦略の一環である可能性があると指摘した。
ソ氏は北朝鮮軍が黄海上の韓国の北西島しょ付近で実施した砲撃と電報の公開が同じ時期に行われたことを根拠として挙げた。
北朝鮮が核問題を巡る対話などで韓国(南)を排除して米国と対話する戦略を「通米封南」と呼ぶが、「通日封南」はこれをもじって作られた造語。
ソ氏は日本と北朝鮮が昨年、水面下で接触していたことに触れ、金正恩氏が岸田氏を名指しして地震被害の見舞い電を送ったのは人道的な問題での対話や接触を進める北朝鮮側の強い意思を示すものと指摘した。
また日本政府が見舞いのメッセージに謝意を示し、「被災者への対応に全力で取り組んでおり、各国首脳らのメッセージへの返信は現時点で行っていない」と述べたことについては、復旧が進めば何らかの形で北朝鮮に返信する可能性があることを示していると分析した。
ソ氏は「北が人道的問題を名分に韓米日の対北制裁の枠組みを弱体化させ、韓国を孤立させようとする動きに韓国は対応しなければならない」と指摘し、「韓国は日本との共同対応策を協議する一方、南北間の人道的対話に向けた事前準備も講じておかなければならない」と提言した。
朝鮮中央通信は6日、金正恩氏が岸田首相に送った見舞いのメッセージを公開した。金正恩氏が日本の首相に電報を送ったのはこれが初めて。一方、北朝鮮は5日から3日連続で、韓国の北西島しょ付近で砲撃を実施した。