2018年に開城工業団地の稼働が中断して以来、「放漫経営」との批判を受けてきた開城工業地区支援財団が解散に向けた手続きを開始することになった。開城工団の稼働中断長期化により財団では業務の形骸化が長期化しているため、今回ついに財団の解散が決まったようだ。韓国統一部(省に相当)が4日に明らかにした。財団の主な業務は「工団の開発と運営」と定められている。
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今回の解散決定について韓国統一部の当局者は同日「財団の運営に当たっては効率性の点で数々の問題が指摘されており、また北朝鮮も非核化に向けた動きに前向きな変化が見られないことから、工団再開の条件が整うのは期待できない。これらさまざまな状況を総合的に検討した上で解散が決まった」とコメントした。財団は「工団の開発と運営の支援」が主な業務だが、それらの業務遂行が事実上難しくなったことや、また北朝鮮が最近になって韓国側の所有する開城工団内の施設や物品を無断で使用し、財産権が侵害されていることなども政府による今回の解散決定に影響したようだ。
開城工業地区支援財団は「開城工業地区支援に関する法律」に基づき、工団の管理と運営を目的に2007年に韓国統一部傘下で設立された。その後16年に北朝鮮が核実験とミサイル挑発を強行した際に韓国政府が開城工団の稼働中断を決定すると、財団は工団に入る企業を対象とした経営の立て直しや販路の開拓などを支援してきた。開城工団が完全にストップしてからこれまで財団の運営費用として584億ウォン(約64億円)が使われたが、そのほとんどが人件費とオフィスの賃貸料などだった。
現時点で財団の法定業務は開城工団に入る企業を対象とする登記処理や被害の支援など、企業側からの要請に対応する事務作業となっている。登記業務については昨年86件、企業側からの相談は97件だった。韓国政府は施行令を改正し、今年3月末ごろに企業への対応業務を南北交流協力支援協会に移管した上で、財団については清算に向けた手続きを進める計画だ。
韓国統一部は今回財団解散の方針とその手続きについて初めて正式に発表したが、発表の際には「財団の解散と工団の閉鎖はイコールではない」と強調した。上記の統一部当局者は「開城工団に対する政府の立場は従来と変わっていないため、北朝鮮の非核化など条件が整えば工団の稼働再開は可能だ」「財団の解散と工団の閉鎖を直接関係づけることは適切ではない」などと明言した。
キム・ミンソ記者