クリスマス前、ロシアのあるクラブでセレブたちの「半裸パーティー」が開かれた。ロシアの権力者層は海外旅行を楽しむなど、ウクライナ侵攻による戦争状態とは関係なく豪華な暮らしぶりを続けていることは知られている。しかし、今回は違った。ロシア市民はもちろん、ロシア政界もパーティー参加者に怒りをぶちまけた。英BBCは「これはパーティー・ゲート(スキャンダル)だ。現在のロシアのムードをよく現している」と評した。
【写真】ドレスコードは「服を着ないこと」…半裸状態の主催者と参加者たち
BBCは28日(現地時間)、「テレビ司会者でインフルエンサーでもあるアナスタシア・イブレワがモスクワのナイトクラブで『半裸パーティー』を開いた」と報じた。パーティーのドレスコードは文字通り「服を着ないこと」だった。ここに集まった芸能人や有名人たちは「ほぼ裸」でパーティーを楽しんだ。非公開のパーティーだったが、交流サイト(SNS)にこの時の動画や写真などが掲載されて騒動になった。
ロシアのラッパー、バシオも参加者の一人だった。バシオは靴下だけを履いて現れ、「ロシアで一番有名な靴下」と呼ばれるようになった。もちろん、いい意味ではない。
パーティーが開かれたことが明らかになると、ウクライナ侵攻を支持するネットユーザーはもちろん、活動家や国会議員たちも、ロシアの軍人たちが命をかけて戦っている状況で有名人たちがこのようなパーティーを開いたことに激怒した。バシオは「同性愛を宣伝した」容疑で逮捕されて15日間の収監を言い渡された上、「非伝統的な性的関係を助長した」として20万ルーブル(約30万円)の罰金を科せられた。
パーティーを主催したアナスタシア・イブレワも天文学的な数字の金額で訴訟を起こされるという危機に直面している。クレムリン(ロシア政府)が主導する「特別軍事作戦」参戦者にイブレワが10億ルーブル支払うよう求める集団訴訟には20人以上が署名した。他のパーティー参加者たちもコンサート日程の取り消し、広告契約の解約、出演番組での全面カットなど、活動に制約を受けている。
パーティー参加者たちはSNSを通じて謝罪文を掲載した。イブレワは「ロシアが許すことを知っている国ならば2回目のチャンスが欲しい。もしこれに対する答えが『ノー』ならば、大衆の処罰を受ける用意ができている」と語った。ロシアの人気歌手フィリップ・キルコロフは「過ちは認める。だが、このようなことで私がアーティストであり、市民として存在できる唯一の国であるロシアで、私のキャリアが積み上げられなくなることは絶対に望まない」と言った。ポップスターのジーマ・ビラーンは「私はタートルネックに大きなトレンチコートとズボンを履いていた。他の参加者たちが何を着てくるか、事前に知らなかった」と釈明した。
BBCは「この数日間に起きた一連の出来事は、パーティーに参加したセレブたちにとって衝撃となって襲いかかっただろう」と伝えた。彼らはウクライナ侵攻後もロシアに残って豪華な暮らしぶりを続けると決めていた親プーチン勢力だったためだ。大衆の批判はこれまで、ロシアを去った反戦派の人々にだけ浴びせられていた。
今回の件で、「現政権を支持することは(これまでとは違って)『無敵の防御幕』になり得ない、というロシアの雰囲気が明らかになった」とBBCは指摘している。これは、現在直面している国内外の問題の原因としてロシアの政治体制がやり玉に挙げるスケープゴートがさらに必要になった、という意味でもある。これまではウクライナ・米国・英国・欧州連合(EU)・北大西洋条約機構(NATO)などがそのスケープゴートになっていたが、今後はロシアの有名人たちもその対象になるものとみられる。
ロシアから亡命した野党活動家マクシム・カッツ氏はSNSに「かつては今回のパーティー参加者たちのような人々に対し、『国に忠誠を誓う限り、望むことは何でもしてもいい』といった社会的合意があった。しかし、今の(ロシア人の)暮らしはパーティーではない。戦争中の国では軽率にパーティーを楽しむことはできない。久しぶりにすべての人々に平等に規則が適用された事例だ」と語った。
イ・ガヨン記者