【ソウル聯合ニュース】韓国の申源湜(シン・ウォンシク)国防部長官は28日に開いた記者会見で、核兵器用プルトニウムの生産に使われる懸念が指摘されている北朝鮮北西部・寧辺の核施設の実験用軽水炉について、「来年夏ごろに正常稼働する」との見通しを示した。
国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は今月21日、寧辺の軽水炉で活動の増加が確認されたとし、「10月中旬以降、軽水炉の冷却システムから排水が観測された」と明らかにした。申氏によると、韓国の関係当局はIAEAより数カ月早く、寧辺の実験用軽水炉の稼働を捉えたという。
北朝鮮は2010年から寧辺で実験用軽水炉の建設を進めてきた。完工目標だった12年を大幅に過ぎても完成させられずにいたが、今になって稼働を開始したことになる。軽水炉の発電容量は25~30メガワット級とされる。
申氏は、この軽水炉は試験稼働により設備や施設を補完している段階にあると説明し、今夏に試験稼働に入ったため来年には正常稼働すると見込んだ。
北朝鮮が軽水炉を稼働させて核兵器の原料を増産する可能性に対しては、「軽水炉でプルトニウムを生産し、核兵器を製造した国はまだない」と述べ、杞憂(きゆう)にすぎないとした。北朝鮮が現在運用する寧辺の黒鉛減速炉(5メガワット)は核兵器の燃料として使えるプルトニウムを生産できるが、軽水炉は核兵器用のプルトニウム生産には適していないとの説明だ。
北朝鮮の軽水炉稼働の理由について、申氏は「北は寧辺に電気を供給するためとしているが、うそとは言い切れない」と述べた。発電容量が寧辺地域に必要な電気供給量とほぼ同じためだという。
申氏は、北朝鮮が軽水炉を軍事用に活用するとすれば、原子力潜水艦用の小型原子炉を製造するための実験を行う可能性があるとし、軽水炉の稼働中に生成される三重水素(トリチウム)は水素爆弾の材料に使われると説明。世界に前例のないことながら、軽水炉で核兵器用プルトニウムを生産する道を開くかどうかも注視すると伝えた。