韓国軍の精神教育教材で「北朝鮮の政権と北朝鮮軍はわれわれの敵」という表現がよみがえった。前政権で削除されてから5年ぶりだ。また教材には、北朝鮮に追従する勢力を「内部の脅威」と明示し、韓米同盟と確固たる連合防衛態勢も強調した。
国防部(省に相当)は26日、こうした内容を盛り込んだ「精神戦力教育基本教材」を改編・発行したと発表した。韓国軍当局が5年ごとに発刊する当該資料は、精神戦力教育の基準となる「指導書」だ。今月末から全軍(中隊級、学校機関など)に配布され、一線の国軍将兵教育に活用される。国防部は「将兵の精神戦力強化という観点から、対敵観や軍人精神が強化された精神戦力教育基本教材を新たに改編・発行した」と説明した。
国防部は、今回の教材で、対敵観の部門を大幅に補完した。「大韓民国の安保を深刻に脅かす主体である北朝鮮政権と北朝鮮軍が明白なわれわれの敵」という表現を復活させたのだ。利敵・従北(北朝鮮に追従する)勢力についての表現も強化した。前の版とは異なり、今回は「大韓民国の正統性と自由民主主義体制を否定して、北朝鮮の三代世襲と人権じゅうりんの実態、深刻な経済難などについては沈黙しながら、北朝鮮へ無批判に追従する勢力が存在する」と記した。
国防部は「将兵にこうした勢力の脅威を明確に認識させることは、精神戦力強化のためどうしても必要な課題」とし、「これを否定して傍観するのは、北朝鮮の主張に同調したり、敵を利したりすることになる」とコメントした。その上で、北朝鮮の指令を受けてスパイ組織を結成した一心会事件・旺載山事件など2000年以降のスパイ団事件、2014年の統合進歩党解散などの事例に言及した。
また今回の教材には、「同盟と連帯」を強化し、国家安全保障に有利な対外環境を造成していかなければならないというメッセージも盛り込まれた。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者