来年4月の韓国総選挙 過半数獲得へ与野党が激突=与党敗北なら政権「死に体」も

【ソウル聯合ニュース】韓国国会(定数300)の勢力図を再編する第22代総選挙(2024年4月10日投開票)が3カ月半後に迫った。2年ぶりの全国単位の選挙となる今回の総選挙は、発足3年目を控える尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対する中間評価とともに、国会で過半数の議席を握る革新系最大野党「共に民主党」に対する評価という意味合いもあり、与野党のいずれも国民の厳しい審判を受けることになる。

◇与党は「国政安定」 野党は「政権審判」

 保守系与党「国民の力」は有権者に対して「国政安定」を訴え、国会議席の過半数獲得に向けて覚悟を固める。少数与党のため政府の国政課題を法制化で後押しできなかったことから、今回の総選挙で議会権力を奪還して政権交代を完成させると強調している。

 「共に民主党」は今回の総選挙で圧倒的勝利を収め、5年任期の折り返し地点を迎えた尹錫悦政権の後半期の国政運営にブレーキをかける構えだ。直近の大統領選と統一地方選で相次いで敗北した共に民主党は「政権審判」を掲げて与党連勝の流れを断ち切り、政権奪還の基盤を築くことが課題となる。

 総選挙の結果いかんで、与野党の命運は大きく左右されることになる。

 国民の力が過半数の議席を確保すれば、政府と与党は政局の主導権を握って巨大野党の壁に阻まれてきた国政課題の立法を急ぎ、次期政権に向けた安定的な国政管理に注力することができる。   

 一方、共に民主党が「政権審判論」の波に乗って議会権力を守ることに成功した場合、尹錫悦政権は早期にレームダック(死に体)に陥る可能性がある。そうなれば共に民主党は李在明(イ・ジェミョン)代表体制を強化し、政権交代の枠組みをより強固なものにすると予想される。

◇大統領支持率・最大野党代表の司法リスクが変数に

 現在のところ、世論の流れは「政権けん制論」が「政権支援論」をリードしている。

 8日に発表された世論調査会社・韓国ギャラップの調査結果によると、35%が「現政権を支援するために与党候補が多く当選すべきだ」、51%が「現政権をけん制するために野党候補が多く当選すべきだ」と答えた。この調査で、尹錫悦大統領の支持率は32%だった。

 しかし、総選挙まではまだ3カ月以上あり、勝敗の行方を断定することはできない。

 選挙結果を左右する要素として、尹大統領の支持率と国民の力の臨時執行部である非常対策委員会の発足による効果、李在明・共に民主党代表の司法リスクと党内の統合問題などが挙げられる。

 政治コンサルティング会社、ザ・モアのユン・テゴン政治分析室長は、総選挙の行方を左右する一つ目の要素は大統領の支持率だとして、与野党の状況がいずれも良くなければ有権者は与党に厳しい目を向けるだろうとの見方を示した。

 明知大の申律(シン・ユル)教授(政治外交学)は「野党は李代表の司法リスクによる変数が最も大きい」として、都市開発事業に絡み京畿道知事選のテレビ討論会で虚偽の事実を公表した罪や、同事件の裁判で関係者に偽証を要求した偽証教唆の罪に問われた李在明氏の一審判決が総選挙前に言い渡される可能性もあると述べた。

◇与野党刷新と新党の影響力に注目 選挙制度も

 与野党の人事刷新や第3勢力となる新党の影響力も注目ポイントだ。

 国民の力は尹大統領の最側近である韓東勲(ハン・ドンフン)前法務部長官を臨時執行部である非常対策委員会の委員長に据え、共に民主党の「86世代(1980年代に大学に入学した1960年代生まれ)」をターゲットに世代交代論を掲げる見通しだ。これを巡っては「国政安定対政権審判」という枠組みを「新しい政治対古い政治」に変えようとするものとの見方が出ている。

 共に民主党は、党内の非主流派が李在明氏の代表辞任と統合非常対策委員会体制への転換を要求する中、李氏が「非李在明派」を取り込み、党の刷新を成し遂げられるかが鍵となる。

 年明けには、与野党の離党者が第3勢力となる新党に合流する可能性がある。国民の力の李俊錫(イ・ジュンソク)前代表や首相などを務めた李洛淵(イ・ナギョン)共に民主党元代表が新党の結成に乗り出している状況だ。

 既に新党を結成した梁香子(ヤン・ヒャンジャ)国会議員(無所属)や琴泰燮(クム・テソプ)前国会議員との間で合従連衡が実現すれば、与野党の構図を揺るがす変数になりかねない。

 また、選挙制度の交渉結果も影響を及ぼす見通しだ。国民の力と共に民主党が既得権を守ることを選び、比例代表制が連動型から並立型に戻れば、新党の議席数がその分減少せざるを得ない。

◇次期大統領選の前哨戦 結果次第で候補の立ち位置に変化も

 今回の総選挙は、次期大統領選の前哨戦としても位置付けられる。

 有力候補とされる国民の力の韓東勲・非常対策委員長と共に民主党の李在明代表は、それぞれ与野党のトップとして総選挙の陣頭指揮を執ることになった。勝利すれば大統領選で有利に戦えるが、敗北すれば責任を問われ、活動範囲が制限されざるを得ない。

 国民の力の李俊錫・前代表、元喜龍(ウォン・ヒリョン)前国土交通部長官、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長、共に民主党の李洛淵・元代表、丁世均(チョン・セギュン)元首相、金富謙(キム・ブギョム)前首相も総選挙での役割と結果に応じて次期大統領候補としての立ち位置が変化すると予想される。

 政治評論家のパク・サンビョン氏は「総選挙で惨敗した責任を負わなければならない人が大統領選に出馬できるだろうか」として、大統領選まで時間がない中、総選挙の結果によって次期大統領候補らの運命も変わるだろうとの見方を示した。

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