[展望2024]韓米日と中朝ロの対立継続 対中関係が韓国の課題に

【ソウル聯合ニュース】北東アジア情勢は、ロシアとウクライナの戦争や米中の戦略的競争のあおりで2024年も韓米日と中朝ロの対立構図が続くと予想される。中国とロシアが黙認するなか、北朝鮮は核・ミサイルの高度化に引き続きまい進するとみられ、これに対抗した韓米日の安全保障協力も加速する見通しだ。

 こうした構図を緩和させられるという意味で、来年は韓中関係の管理が韓国外交の大きな課題になると見込まれる。また、トランプ前大統領の再選の可能性もある来年11月の米大統領選は、朝鮮半島の安保情勢に多大な影響を及ぼし得る。

◇「韓米日」対「中朝ロ」の構図強まる恐れ 北朝鮮は核開発にまい進

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)による今年9月のロシア電撃訪問を機に本格化したロ朝協力は、来年に一段と加速する見通しだ。

 ロシアのプーチン大統領が来年3月の大統領選で通算5選を果たせば、同氏の訪朝計画も具体化する可能性がある。ロシアが偵察衛星の性能向上や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の大気圏再突入技術といった先端国防技術の面で北朝鮮を支援するという、ロ朝の軍事協力への懸念はさらに強まりそうだ。

 また、これまで中朝ロとひとくくりにされることにやや不本意な様子だった中国が、来年どういった態度に出るかが関心を集める。

 中国は、北朝鮮の武力挑発に対しては「韓米の軍事脅威」を問題視して擁護する一方、北朝鮮と軍事・政治的に結び付いているように捉えられることは避けようとする雰囲気だった。だが、米国との対立構図が鮮明になり、韓米日の軍事協力が中国にとっても脅威になると判断すれば、中朝ロの軍事協力に積極的に乗り出す可能性がある。

 北朝鮮は陣営間の対立に乗じ、来年も核・ミサイル開発に打ち込む見通しだ。来年11月の米大統領選を控え、ICBMを通常角度で試射するといった大型の挑発に踏み切ることもあり得る。挑発によってバイデン米政権の対北朝鮮政策の失敗を印象付け、金正恩氏に友好的なトランプ前大統領の再選を後押ししようとするとの見方だ。米本土に対する攻撃能力を立証し、再選したトランプ氏と「核軍縮」会談に臨みたいという思惑もありそうだ。

 北朝鮮の脅威に対抗した韓米日の軍事協力も、来年は一段と強まると予想される。3カ国は先ごろ北朝鮮ミサイル発射情報の即時共有システムを稼働させ、対北朝鮮での軍事協力を進展させており、来年はさまざまな軍事訓練を共同で行う計画だ。

◇韓中関係の管理が外交課題に 米大統領選の行方も注目

 来年、韓国の外交においては中国との関係の管理が最大の課題となる。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は韓米同盟の強化と韓日関係の改善、韓米日協力の本格化に打ち込んできたが、これからは相対的におろそかになっていた対中関係にも目配りすべきとの指摘が多い。

 外交部長官に指名された趙兌烈(チョ・テヨル)氏も今月20日、尹政権の外交が韓米、韓日、韓米日の側に偏っているのは事実だとしながら、「韓中関係も韓米同盟に劣らず重要な関係だ」と強調した。

 最大の貿易相手国である中国との関係改善はそれ自体にも意味が大きいが、深刻化する韓米日と中朝ロの対立構図を弱められるという点でも重要だ。

 韓中関係の方向性は、中国が消極的な姿勢をみせている韓中日首脳会談が早期に開催されるかどうかによって判断できそうだ。19年を最後に開かれていない同会談が来年開催されれば、中国の習近平国家主席の訪韓も実現に向かう可能性がある。韓中関係が改善すれば、北朝鮮の核・ミサイル開発を傍観している中国の態度にも変化の余地が生じる。

 米大統領選も重大な変数だ。バイデン大統領が再選すれば現状とあまり変わらない一方、同盟を軽視しがちなトランプ氏が再び政権を握れば韓国の外交にも極めて大きな影響があり得る。トランプ氏は同盟も徹底して「取引」の観点から捉えるため、米国の韓国に対する「核の傘」の公約が後退しかねないと専門家らは懸念している。

 昨年2月に始まったロシアとウクライナの戦争の行方も関心を集める。この戦争がロ朝関係や中朝ロの結束、米ロ関係を左右するためだ。

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