【ソウル聯合ニュース】韓国国会(定数300)の勢力図を再編する第22代総選挙が2024年4月10日に実施される。総選挙は4年に一度で、今回は発足3年目を控える尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権に対する中間評価という意味合いがあり、22年大統領選で戦った尹錫悦大統領と革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)現代表の対決構図が再現される可能性も高い。
国会では現在、共に民主党が過半数の議席を握る。保守系与党「国民の力」としては国会での劣勢をひっくり返し、政権交代というパズルの最後のピースをはめることを切望している。一方、共に民主党は大統領選と統一地方選敗北の雪辱を果たすとともに、尹大統領の政権運営にブレーキをかける構えだ。
総選挙の結果が尹政権の政策推進力に多大な変化をもたらすことは必至で、与野党はそれぞれ「国政安定」と「政権審判」を掲げ、対決姿勢を鮮明にしている。
◇国民の力 国会で過半数議席を奪えるか
国民の力は22年3月の大統領選での尹錫悦氏勝利により与党に返り咲き、同年6月の統一地方選でも勝利した。政権奪還に続いて地方権力の確保にも成功したが、国会では共に民主党の議席数を大きく下回っている。そのため尹政権の国政課題を法制化で十分に後押しできず、むしろ共に民主党が国政課題に逆行する政策の法制化を推し進め、弾劾や特別検察官による捜査といった切り札で行政府を無力化する試みを許してしまっている。
国民の力はこうした現状を「未完の政権交代」と見なす。政権交代を完成させるには国会で過半数の議席を奪わなければならない。万一総選挙で大敗しようものなら、尹政権のレームダック(死に体)化が早まりかねないという危機感も厳然と存在する。党は来春の総選挙勝利と政権運営の安定化への覚悟を固め、国会多数派である野党第一党の暴走と政府・政策への妨害を防ぐため与党を支持するよう、有権者に訴えている。
党は今年10月のソウル市江西区長補選で共に民主党に大敗した後、総選挙に向けて刷新を図ろうと革新委員会を立ち上げた。だが委員会が主流派の「犠牲」を求めたことで党内はきしみ、委員会は予定より早く解散し、金起炫(キム・ギヒョン)代表は辞任した。その後、総選挙を率いる臨時執行部である非常対策委員会の委員長に尹大統領の最側近、韓東勲(ハン・ドンフン)法務部長官が指名され、仕切り直しを図ることになった。
今後は中道層、首都圏、若者の有権者をターゲットに票集めに注力する戦略だ。ただ公認選びの過程であつれきが生じたり非主流派の離脱が起きたりする場合、総選挙勝利が遠のきかねないとの指摘もある。
◇共に民主党 尹政権・与党けん制へ議席数維持めざす
共に民主党は「政権への審判」を前面に押し出し、尹政権をけん制するために国会で議席数を守るという覚悟を示している。政権交代後、国政の迷走が続いていると批判し、政権運営の方向性を見直すには野党の勝利が必要だと主張する。
党は22年の大統領選、地方選で立て続けに敗れており、国会で過半数議席まで奪われれば政権の独走を止めることが難しくなる。全国単位の選挙2連敗の鎖を断ち切り、27年の次期大統領選で勝利する足場を築くという意味でも来春の総選挙は決して落とせない戦いだ。李在明代表は総選挙を「退行を防ぐために重要だ」としながら政権審判の必要性を繰り返し強調している。
共に民主党は与党をけん制する「最小限の安全装置」として過半数議席の獲得を総選挙の目標に据えた。特に最大の勝負どころとなる首都圏を死守するという意志は固い。先のソウル・江西区長選の結果は首都圏の民心が尹政権から離れた証しとみて、気勢を上げている。国民の力の非常対策委員長として登場した韓氏については「尹錫悦のアバター(分身)」だと強調する狙いとみられる。
一方、共に民主党の行く手を阻む要因としては、都市開発事業を巡る不正などさまざまな疑惑が取り上げられる李在明代表の「司法リスク」があり、検察の捜査や公判が続いている。党の非李在明派の離脱や、首相なども務めた李洛淵(イ・ナギョン)元党代表の新党結成の動きなども注目される。