国防政策と武器開発を担当する国策研究機関のKIDAとADDはK防衛産業で過去に例のない輸出実績を上げ、大いに盛り上がっていると思われがちだが、現実はただ喜んでばかりもいられない状況だという。ある関係者は「研究員らの過労死や退職が相次ぎ、研究所全体の雰囲気は暗い」と語る。KIDAでは2021年にある研究委員が勤務中に神経マヒの症状で倒れそのまま死亡した。21日に爆発事故が起こったADDでは2019年にもロケット燃料の実験室で爆発事故が起こり、先任研究員1人が死亡し5人の研究員が重傷となった。
ADDはこれまで潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)、高性能弾道ミサイル「玄武4」、「韓国型THAAD(高高度ミサイル防衛システム)」とも呼ばれる長距離地対空ミサイル(LSAM)などの開発に成功してきた。しかしこれらの兵器開発に関与してきた研究員らはここ5年間に140-170人が退職したという。毎年50人前後が退職している計算だ。ある研究員は「成果に対するインセンティブがないなど、その待遇は相対的に良くない。その上極秘の武器開発を担当しているため、個人の生活も制限されるからだ」と説明した。退職した研究員の多くは大学や民間企業などに転職しているという。
KIDAのある元研究員は「ポーランドやオーストラリア、サウジアラビア、UAE(アラブ首長国連邦)などにK武器が大量に輸出されるその裏では、誰にも知られない場所で黙々と自らの使命を果たしてきた研究員たちの血と汗、そして献身があった」とした上で「21日に死亡したADD研究員に政府と軍が哀悼のメッセージを出したように、国が『隠れた主人公』たちの愛国心と献身を忘れず、格別な配慮を行いそれに見合った待遇を行うべきだ」と訴えた。
盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者