現在韓国が直面している問題は、低出生ではなく高齢化による労働力不足だ。生産年齢の中核を担う25-54歳は、2023年11月が2243万人だったが、2030年には2063万人、40年には1781万人にまで激減する見通しだ。逆に65歳以上の高齢者は同期間に969万人、1306万人、1724万人と急増する。現在講じている少子化対策が功を奏するのは早くても2050年。労働力不足は数年後から韓国の足かせとなるだろう。
人数が減ると、残った人員の精鋭化が問われる。移民拡大が効果を発揮するためには、移民者は生産性の低い働き口に配属され、代わって韓国人が高熟練、高機能、高賃金の働き口に移動しなければならない。韓国では、高齢化により内需が衰退の一途をたどっていることから、優秀な労働力に基づく高付加価値産業を通じ海外市場で成果を上げる必要性が高まりを見せつつある。
教育と労働市場の改革が急がれるものの、変化を期待するのは容易でなく、多くの懸念が伴う。最近OECD(経済協力開発機構)が発表した国際学習到達度調査(PISA)を通じて、韓国人学生の学力低下が著しいことを改めて確認させられた。公教育が本来の役割を果たせていないという意味だ。ほとんど全ての産業で他の先進国より低い水準である労働生産性をどのように引き上げていくかについては、まともな議論さえ行われていない。あえて子どもを産むことで、このような状況に追い込みたいと思う親などどこにも存在しない。出生率を高めるためには、高齢化に適応しなければならない理由だ。
チョ・グィドン経済コラムニスト