グーグル検索世界1位「ビビンバ」【萬物相】

 パリ特派員だったころ、韓国料理店でフランス人をもてなす際はビビンバを勧めれば成功率100%だった。グルメなフランス人たちはビビンバを食べる時、3回称賛した。まずはご飯・ナムル・卵・肉が織りなす彩りの豊かさが1回目、次にコチュジャン(唐辛子みそ)とゴマ油を入れて自分で混ぜて食べる異色の体験が2回目、そして、タンパク質・炭水化物・脂質の3大栄養素が均等に含まれているバランス食であるというのが3回目の称賛ポイントだった。

【写真】「ビビンバを食べたら歯が割れた」…アシアナの機内食に異物混入

 フランス人たちはビビンバの起源にも興味津々だった。祭祀(さいし)を行った後、先祖に供えて残ったご飯・肉・ナムルを子孫たちが一つにして混ぜて食べたという「祭祀料理起源説」を教えると、東洋の儒教文化を不思議がった。ビビンバの起源説には別のバージョンもある。田植えや収穫の時、手伝いの人々に食べさせる食材を野外に持って行き、一度に混ぜて食べさせたことに由来するという説や、一年の終わりの冬至の日、作り置きの総菜を年が明けてからも食べるのを嫌い、ご飯にすべてを入れて混ぜ、夜食として食べたという説もある。

 ビビンバ文化を代表する地域と言えば全羅道の全州と慶尚道の晋州だ。全州ビビンバは牛の頭のだし汁でご飯を炊き、豆もやしをたっぷり入れ、生卵を入れて混ぜるのが特徴だ。牛肉ユッケを入れる晋州ビビンバは壬辰倭乱(文禄・慶長の役)の時、晋州城の戦いで石を運んでいた女性たちが兵士たちに高カロリーですぐにできる食事を提供するために作ったと言われている。

 ビビンバが世界に広く知れ渡るようになったきっかけは、1997年に大韓航空が機内食としてビビンバを提供してからのことだ。ヘルシーな機内食として注目され、1998年に世界最高の機内食賞を受賞した。最近でも大韓航空国際線では年間300万食以上のビビンバが消費されている。「キング・オブ・ポップ」のマイケル・ジャクソンも大韓航空の機内食で初めて食べて、ビビンバの大ファンになった。マイケルが泊まっていた新羅ホテルでは、ビビンバばかり食べる彼のため、コチュジャンや肉類が入っていない「MJビビンバ」のレシピを開発した。

 検索エンジン「Google(グーグル)」の発表によると、前年に比べて今年、検索が世界的に急上昇したレシピ(料理法)の1位はビビンバだった。『太陽の末裔(まつえい)』などの韓流ドラマによく出てきたおかげだという。ビビンバは同じ「ご飯文化圏」の日本や中国にはない独特の料理であり、韓国のファストフードだと言えるだろう。ハンバーガーやホットドッグのように肥満につながる西洋のファストフードとは違い、ビビンバは、「薬」と「食」は源が同じ、つまり「薬食同源」という韓国の食の哲学が込められているバランス食だ。食材の取り合わせによっては低カロリーのダイエット食にもなる。ビビンバにはグーグル検索1位にとどまらず、世界の人々が楽しむファストフードの仲間入りを果たしてほしいものだ。

金洪秀(キム・ホンス)論説委員

<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) Chosunonline.com>
関連ニュース
関連フォト
1 / 1

left

  • ▲イラスト=パク・サンフン

right

あわせて読みたい