「欧州連合(EU)加盟国によるロシア資産の差し押さえが深刻な結果を招き、ユーロに対する信頼毀損(きそん)が懸念される」と、英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)が20日付で報道した。
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同紙はEU執行委員会の文書を引用し、「G7(先進主要7カ国)とEU、オーストラリアが2022年にロシア中央銀行の資産約2600億ユーロ(40兆8300億円)を凍結した。このうちEUが2100億ユーロで圧倒的だ」と報じた。また、「EUが凍結した2100億ユーロのうち、1900億ユーロは世界最大の決済および国際決済機関の一つ、ベルギーのユーロクリア(Euroclear)の口座にある」とも伝えた。
国別のロシア資産凍結はフランス190億ユーロ、米国46億ユーロ、ドイツ2億1000万ユーロの順となっている。今年10月末現在、ユーロクリアは2023年に9カ月間の制裁を受けたロシア資産に投資し、約30億ユーロの利子を稼いだと言われる。
ロシア凍結資産は2022年のロシアによるウクライナ侵攻以降、ロシアに非友好的な西側諸国がロシア、ロシア人、ロシアの組織に対して制裁を加え、凍結されたものだ。
米国は凍結された資産の没収を公に支持してはいないが、これを正当化している。米高官がこのほど作成したあるG7討論文書では、「(ロシア資産凍結は)ロシアがウクライナに対する攻撃を中止するよう奨励する国際法に基づいて許容されている対応措置だ」と説明している。
また、差し押さえられた資産が世界銀行(WB)や欧州復興開発銀行(EBRD)を通じてウクライナに移転することも可能だと提案した。これは、ロシアが国際法に基づき、(ウクライナ)侵攻に対して結局は支払わなければならないウクライナに対する補償だと見なしているからだ。
同紙はしかし、ロシア資産没収には法的結果が伴うと指摘している。ロシア中央銀行の資産は国際法によって保護されており、この原則に挑む行為は金融システムに深刻な結果を招くと受け止めている。
EU関係者は「すべての主要ユーロ建て経済はユーロ、外国人投資、ユーロ清算に対する潜在的な影響のため、この問題に非常に慎重にアプローチしている」と語った。事実、G7諸国の間でも合意を模索しているが、フランス、ドイツ、イタリアは非常に慎重なアプローチ姿勢を取っている。
これに対して、ロシアのアントン・シルアノフ財務相は「ロシアは西側の制裁圧力に対処するだろう。EUと西側諸国は凍結したロシア資産の没収に対する法的条件を整えるため努力している」と強調した。
チョン・ビョンソン記者