あるコンビニの前には、ビールと焼酒(ソジュ、韓国式焼酎)の瓶を持って友人らと酒盛りをする外国人の姿があった。梨泰院駅1番出口の前では、8人の外国人がギターの路上ライブに合わせて体を揺らして踊っていた。グループのうち2人はビールと焼酒を飲んでいたが、飲み終えた瓶をそのまま路上に捨てて去っていった。梨泰院の飲み屋で働くイさん(28)は「路上で酒を飲んで、瓶をポイ捨てする人がものすごく多い」として「割れた瓶でお客さんがけがをしないよう、一日に何回も店の前を掃除している」と話した。
この日の夜、雑踏事故が起きた路地には、クラブの入店を待つ長い行列ができていた。50人以上並んでいるクラブもあった。路地を通る人たちは、行列を避けながら歩いていた。
地下鉄の終電時間が過ぎると、梨泰院周辺はタクシーを探す人々で大混乱となった。タクシーがつかまらないため、通りのど真ん中に出てタクシーの前に立ちふさがる人もいた。反対車線に停車しているタクシーに乗ろうとして、横断歩道のない4車線道路を無理やり横断する人たちもいた。アプリで呼んだタクシーで酔った友人を帰宅させようとした男性は、タクシーの運転手と5分以上口論していた。運転手は「酔客を単独で乗せるのは困難」と言ったが、酔った相手には話が通じなかった。
深夜の梨泰院は、酒の瓶やチラシ、たばこの吸い殻、吐しゃ物などが路上を覆い尽くしていた。ほとんどの人は帰ってしまったが、飲み屋のスピーカーからは大音響の音楽が流れ続けていた。梨泰院に住むソさん(28)は「出勤するとき、朝遅い時間でも音楽を流している店がある」「いったい公務員たちは何をしているんだろうか」と話した。雑踏事故が起きた梨泰院の路地は準住居地域で、日中は50デシベル以上、夜間は40デシベル以上の騒音を出してはならない。大通りの方でも日中は65デシベル、夜間は55デシベルを超えてはならないとされている。
竜山区の関係者は「通りに集まる人々が出す音と、あちこちの店から出る騒音がこのように複合的に合わさった場合、騒音規制法で取り締まるのは事実上不可能」だとして「外部への拡声器設置を禁じるなどの法制度の裏付けがない状況では、パトロールをして事業者に対する啓発を行う程度にとどまっている」と話した。雑踏事故以降、騒音を理由に過料処分を受けた飲み屋は1軒もないと竜山区側は明らかにした。しかし事故の後も騒音を取り締まる公務員は以前と変わらず2人だ。週末だけ1人増員して3人で騒音を取り締まっているという。
コ・ユチャン記者