【ソウル聯合ニュース】経済協力開発機構(OECD)が19日までに公表した報告書「図表で見る年金」2023年版によると、韓国の66歳以上の高齢者人口の所得貧困率は20年時点で40.4%と、OECD加盟国の平均(14.2%)に比べて3倍近く高かった。
所得貧困率は、平均所得が貧困の基準ラインとなる「中位世帯の可処分所得の50%未満」である人口の割合で、OECD加盟国のうち高齢者の所得貧困率が40%台に上る国は韓国が唯一だ。韓国はOECDが各国の高齢者の所得貧困率を公表し始めた09年以降、加盟国でワーストを記録し続けている。
韓国に次いで高かったエストニア(34.6%)、ラトビア(32.2%)は30%台で、日本(20.2%)と米国(22.8%)は韓国の半分程度だった。高齢者の所得貧困率が低い国はアイスランド(3.1%)、ノルウェー(3.8%)、デンマーク(4.3%)、フランス(4.4%)など、主に北欧や西欧の国々だった。
韓国の高齢者の所得貧困率は高齢になるほど上昇し、66歳以上の人口のうち66~75歳の所得貧困率が31.4%であるのに対して76歳以上では52.0%と、約半数が貧困層に属した。
男女別では、66歳以上の女性の所得貧困率は45.3%で男性(34.0%)を11.3ポイント上回った。OECD平均は男性が11.1%、女性が16.5%。
大半のOECD加盟国で高齢者は全人口と比較して可処分所得が少ないが、韓国は特にその状況が深刻だった。OECD加盟国の66歳以上の平均可処分所得は全人口の平均可処分所得の88.0%だった一方、韓国はこの比率が68.0%でリトアニア(67.4%)に次いで低かった。日本は85.2%、米国は93.2%だった。
韓国の高齢者は可処分所得が少ないものの、就業率は高かった。65~69歳の就業率は22年時点で50.4%と、OECD加盟国のうち日本(50.9%)に次いで高い。この年齢層のOECD平均就業率は24.7%だった。
韓国の年金の所得代替率(年金加入期間の平均所得に対する年金受給額の割合)は31.6%で、OECD平均(50.7%)の3分の2にも満たなかった。これは国民年金などの公的年金と、デンマークやオランダ、スウェーデン、英国など8カ国が運営する準強制加入の私的年金を合わせて計算したものだ。
高麗大の金元燮(キム・ウォンソプ)教授(社会学科)は「韓国の高齢者は一般に70歳まで働き続けるが、政府の国内総生産(GDP)に対する公的年金の支出率が3.6%でOECDの半分程度と少なく、高齢者の貧困が発生している」と指摘する。公的年金の支出をOECD平均レベルまで上げるべきだとし、とりわけ短期間で効果が見込める基礎年金(所得が一定以下の高齢者に支給する年金)の支出を増やすべきだと提言している。