■在韓米軍の二つの戦闘飛行隊を台湾に投入?
実際に中国が台湾に侵攻する事態が起きた場合、在韓米軍をはじめ韓国も決して無関係ではいられない。在韓米軍のU2偵察機が2020年以降、たびたび台湾海峡に出動して中国軍の訓練などを監視しているのが代表的な事例だ。専門家らは「在韓米地上軍の投入は難しいだろうが、F16戦闘機など空軍力を台湾有事の際に投入する可能性は高い」と指摘する。今年1月に米国の戦略国際問題研究所(CSIS)が公開した中国の台湾侵攻ウォーゲームの報告書にも、在韓米空軍の四つの戦闘飛行隊のうち2隊が沖縄に移動配備され、後に台湾の戦線へ投入されるシナリオが含まれていた。
空軍など在韓米軍が台湾事態に投入され、米国が支援を要請してきたら、韓国はどのように対応すべきだろうか。現在進行中のロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ハマス戦争と共に中国の台湾侵攻も同時に起きた場合、韓国の対応は難しいものになる。特に、中国が台湾に侵攻した場合、米国の戦力を分散させるため北朝鮮の挑発を「けしかけて」、局地戦など深刻な挑発で事実上「四つの戦争」が同時に展開する最悪の状況にも備える必要性がある、という主張も出ている。現在、米国は二つの戦争の支援すら手に余る状況なので、3ないし4の戦争が同時発生したら、米国による韓半島大規模支援は事実上不可能になるとみられる。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も昨年9月、米CNNテレビのインタビューで「中国が台湾を攻撃した場合、米国の要請で台湾防衛を支援するか」という質問に対して「もし中国が台湾を攻撃したら、北朝鮮もまた挑発する可能性が極めて高い。その場合、韓国では強力な韓米同盟を基盤として北朝鮮の挑発に対応することが最優先の課題になるだろう」と答えた。