北朝鮮がICBM発射 韓米の圧力強化に反発=米への攻撃能力誇示

【ソウル聯合ニュース】北朝鮮は18日朝、大陸間弾道ミサイル(ICBM)と推定される弾道ミサイルを発射した。韓国と米国が先週、拡大抑止に関する協議体「核協議グループ(NCG)」の会合を開き、来年8月の合同軍事演習で北朝鮮の核・ミサイル脅威に対応する「核作戦演習」を実施することで合意したことに反発し、米国を直接攻撃できるICBMの能力を誇示したものとみられる。

 韓国軍の合同参謀本部は「きょう午前8時24分ごろ、平壌付近から(朝鮮半島東の)東海上へ発射された長距離弾道ミサイルと推定される1発を確認した」と発表した。ミサイルは高角度で発射され、約1000キロ飛行して東海に落下したという。飛行時間や最高高度などは明らかにしなかった。

 日本の防衛省は、ICBM級のミサイルが午前9時37分ごろに日本の排他的経済水域(EEZ)外に落下し、最高高度は6000キロ超と推定されるとした。

 飛行時間と最高高度、飛行距離はいずれも、北朝鮮が7月に発射した固体燃料式の新型ICBM「火星18」と同程度だ。北朝鮮が再び火星18の発射実験を行った可能性があるが、韓国軍合同参謀本部のイ・ソンジュン広報室長はこの日の定例会見で「固体燃料のICBMなのかは分析中」とだけ答えた。

 今回のミサイルが高角度でなく通常の角度で発射されたとすれば、1万5000キロ以上の飛行が可能とみられる。これは米本土全域が射程に入る。

 北朝鮮によるICBM発射は今年5回目で、火星18を試射した7月12日から約5カ月ぶりとなる。

 北朝鮮は先月に軍事偵察衛星を打ち上げ、米国などの撮影に成功したと主張している。こうした監視能力に続き、ICBMという米国を攻撃できる手段もあると誇示したといえる。

 韓国大統領室は直ちに国家安全保障会議(NSC)常任委員会を開き、対応を議論した。

 軍合同参謀本部は「朝鮮半島はもちろん、国際社会の平和と安定を害する重大な挑発行為で、国連安全保障理事会決議を明白に違反したもの。強く糾弾する」とし、軍は韓米連合防衛体制下で北朝鮮の活動を注視しながら挑発に対応できる能力と態勢を維持していると強調した。

 また「発射された北の弾道ミサイルの警報情報は韓米日の3カ国間で緊密に共有された」と明らかにした。

 この情報共有は、北朝鮮のミサイル発射時に3カ国が情報を即時共有するシステムを運用したものではなかったようだ。韓国国防部のチョン・ハギュ報道官はこの日、「韓米日のミサイル情報リアルタイム共有は最終検証段階にある」とし、「数日内に正常稼働させるために3カ国で緊密に協議している」と説明した。

 北朝鮮が偵察衛星の打ち上げ、南北軍事合意の事実上破棄に続きICBM発射に踏み切ったことで、朝鮮半島を巡る軍事的緊張は一層高まる見通しだ。

 北朝鮮としては韓米による圧力強化への反発がある。韓米は15日(米東部時間)にNCGの会合を開き、来年8月に予定する合同軍事演習「乙支フリーダムシールド(UFS、自由の盾)」での核作戦演習実施に合意した。北朝鮮は17日夜(日本時間)に短距離弾道ミサイルを発射し、直後に発表した国防省の談話でNCGの会合結果を「露骨な核対決宣言」などと激しく非難した。この短距離ミサイル発射から10時間後にICBMも発射した。

 韓国政府系シンクタンク、統一研究院の洪珉(ホン・ミン)北朝鮮研究室長は「韓米が来年から核作戦演習を実施することにしたほか、最近相次いで(米国の)戦略資産を(朝鮮半島に)展開し、北がこれを口実に積極的に対応している」と分析。年末の朝鮮労働党総会を控え、攻勢を強める姿勢を示したとの見解を述べた。

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