【世宗聯合ニュース】韓国政府は国内ロボット市場の拡大に向け、官民が2030年までに3兆ウォン(約3280億円)以上を投資し、市場を21年の5兆6000億ウォンから20兆ウォン以上へと約4倍に増やすとの目標を提示した。またロボットが最も多く使われる製造業をはじめ、農業、物流、国防、医療などすべての分野で100万台のロボットを投じ、生産人口の急減に対応する。
産業通商資源部は14日、方文圭(パン・ムンギュ)長官の主宰で「先端ロボット産業戦略会議」を開き、このような内容を盛り込んだ「先端ロボット産業ビジョンと戦略」を発表した。同部は産業の生産性を高めるとともに、生産人口の急減に応じてロボット産業を新たな成長動力とするために戦略を発表したと説明した。
100万台のロボットを投入し、このうち製造業、農業、物流、産業安全などの分野では計68万台のロボット供給を目指す。国際ロボット連盟(IFR)によると、製造業従事者1万人当たりのロボットの数を示す「ロボット密度」は韓国(1012台)が世界トップだ。ただ、韓国のロボットは製造業でも自動車や電気・電子など特定の分野に集中しており、他分野での活用度は比較的低い水準にとどまっている。
政府は農業、物流センター、宅配・配送、飲食店の調理・配膳など人手不足が問題となっている分野へのロボット投入を拡大し、生産人口の減少をカバーすることで「ロボット経済」を活性化できると期待している。雇用労働部の統計によると、21年から30年にかけて韓国の生産人口は約320万人減少する見通しだ。
飲食店で活用が始まっている料理の配膳ロボットなど、外食業者向けのロボットは30年までに30万台の普及を目標とする。
配膳ロボットは価格競争力に優れた中国製品が国内市場の50%以上を占め、韓国製ロボットの普及拡大のためには企業の技術・価格競争力確保と政府の政策的支援が求められる。
産業用に比べ市場形成の初期段階にある社会分野でも計32万台のロボット普及が推進される。人材不足に苦しむ韓国軍では給食を作る「炊事兵ロボット」や監視・偵察など危険な任務でロボットを活用し、警察のパトロールロボットなど国防・安全分野だけで2万台が投入される。
社会分野で成長性が高いと期待されているのは介護・医療分野だ。政府は病院、療養施設、家庭で30万台のロボット普及を目標に掲げ、制度的基盤の整備にも乗り出す。
産業や社会全般でロボットを安全に活用できるよう支援する公共インフラも構築される。政府は24年から28年までの5年間で約2000億ウォンを投じ、南東部・大邱の16万6973平方メートルの敷地に「国家ロボットテストフィールド」を造成。物流、商業、生活など実際の環境と同じように作った「模擬都市」に開発段階のロボットを投入し、サービス品質、安全性、信頼性などの実証実験を行う。