「ケッタル」の改名を求めるケッタル【萬物相】【朝鮮日報】

 モンゴルは漢字文化圏で長い間「蒙古」と呼ばれてきた。モンゴル人はこの名称を嫌っていた。「蒙」は「愚かだ」という意味であり、国号として不適切なのは事実だ。韓国は「モンゴルと呼んでほしい」という要求を尊重し、1990年代初めからそう呼んでいる。トルコを「テュルキエ」と呼ぶようになったのも似たような事例だ。テュルクは「勇猛な者」に由来するが、韓国でトルコを指す「ターキー」という国名は、英語の七面鳥と発音が同じで俗語では「愚か者」という意味もある。国連が要求を受け入れて国名変更を承認した。

【写真】「ケッタル」、李在明逮捕同意案可決にため息・悲鳴・怒号

 ビルマも1988年、自分たちをミャンマーと呼んでほしいと言った。しかし、多くの国が依然としてビルマと呼んでいる。国際社会の共感を得られなかったからだ。特に英米はミャンマー軍部による統治を認めないという意味でビルマと呼ぶ。職業の名称を変える際にも社会的同意が必要だ。家政婦(韓国語で派出婦)がヘルパー(トウミ)に、運転手が技士(韓国語で運転手をそう呼ぶ)に、清掃員が環境美化員に変わったのは、それぞれの職業の従事者による要求もあったが、韓国社会がある程度共感したためだ。

 共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表の熱狂的支持者が自ら名乗った「ケッタル」という名前を捨て、「民主党員」または「民主党支持者」と呼んでほしいと言っている。「改革(ケヒョク)の娘(タル)」を略した言葉で、「世界史的意味のある新しい政治形態」と誇らしげだった人々が今になって、「今後は地球上にいてもいない犬娘」と断言する。ケッタルのケには犬という意味があり、「犬娘」とも聞こえるからだ。李在明代表も先日まで「本当に多くのうちの犬娘、犬おばさん、犬おじさん、さらには犬おばあさんまで共にしてくれて本当に大きな力になる」「犬娘の皆さんを愛している」と話していたが、意外な豹変(ひょうへん)だ。

 ケッタルは改名の理由を「対抗陣営が私たちに(妙な)フレームをはめて扇動したため」だとした。ケッタルに悪いイメージが重ねられたということのだ。しかし、そんなイメージを作ったのは、他の誰でもなく、ケッタル自身だった。数年前、裁判所が集まるソウル・瑞草洞のろうそく集会を主導した人々も、最初は「手段の方法を選ばずに曺国(チョ・グク)を助ける」という意味で自分たちの名前を「犬の喧嘩国民運動本部」と言った。そして後から「改革国民運動本部」と改称した。

 哲学者ヤスパースは「言葉が見合ってこそ真の意味で存在する」と述べた。名前は志向と実際に行う行動が伴わなければならないという意味だ。そうした意味で口では「改革の娘」を叫びながら、実際には退行的な行動を繰り返したケッタルは「真の意味で存在するもの」ではなかった。反対派をターゲットを定め、集団で攻撃する行動は、民主党内部でも「ナチ」「ファシズム」だという懸念を生んだ。それに対する反省は一つもなく、ケッタルという名前だけを変えてほしいと言っているのだ。

金泰勲(キム・テフン)論説委員

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