愛の温度塔や救世軍の社会鍋(いずれも助け合い募金活動)、クリスマスのディスプレーやイルミネーション、焼き栗や焼き芋の屋台など、年末のおなじみの風景が街を彩っている。しかし、全くワクワクしない年末の風物詩も一つある。歩道の敷石の交換工事だ。何の問題もない道が、にわかに工事現場に変わるのだ。韓国建設産業研究院によると、実際に国土交通部(省に相当)が発注する公共工事は、年末に集中する傾向がある。会計年度独立の原則に従って、歳出予算をその年度内に全て執行しようとするためだ。それに加え、歩道の敷石の交換工事は事業費の構造が単純で視覚的な変化の効果も大きいため、地方自治体が好んで実施するという。
【写真】「日本人に踏まれる」と批判殺到…李舜臣将軍が描かれた歩道のタイル、設置から三日で交換 /釜山
このような年末の歩道工事は長い間、市民にとって不満の対象となってきた。このため十数年前、当時の朴元淳(パク・ウォンスン)市長は、「歩道敷石市長」を自任し「歩道敷石の十戒」を発表した。予算の無駄遣いを減らし、手抜き工事を防止するという趣旨だったが、その一つとして「歩道工事クロージング11」という実にこっけいな「官用句」を考え出した。全ての工事を11月までに終わらせるという約束だ。年末ギリギリに予算を消化するという印象を少しでも変えようとしたわけだが、その後も一般市民の目には特に変化は感じられない。実際には、歩道の敷石の交換工事は必要であればすぐにでも実施しなければならない。歩道というのは上・下水道や通信ケーブルといった地下埋設物の設置、空中線(アンテナ)の埋設、新規建築物の配管工事などのために、ひっきりなしに掘り返されては埋められる。これは歩道の生まれながらの宿命だ。
歩道の敷石工事自体が誤っているのではない。問題の本質は、こうした工事を含めて韓国の歩道が全般的に、利用者にとってあまりに不便で醜くて危険だという事実なのだ。これは手抜き工事の結果にほかならない。割れたりゆがんだり、へこんだり粉々になったり、そのような壊れた敷石が歩道の周辺にあまりにも多い。街灯や信号機、換気口、街路樹、消火栓、郵便ポスト、マンホールなどさまざまなものが地面から飛び出しているため、歩道の敷石の仕上げ工事は「彫刻家レベルの丹念さ」が求められるというが、この分野に関する限り、韓国と先進国の間の技術格差は30年以上あると評されている(パク・テグン『歩道の敷石には罪がない』)。世界最高水準の高速道路や高速鉄道、国際空港を誇る国が、歩道に関しては敷石すらまともに敷き詰められないのだ。