経済協力開発機構(OECD)が主管する学習到達度調査(PISA)で日本が大幅に躍進したほか、韓国も善戦するなど、東アジア諸国が軒並みいい成績を収めていたことが分かった。
12月6日に公開された昨年のPISA順位で、日本は読解力で81カ国のうち3位となり、直前評価(2018年の15位)から大幅に順位を上げた。数学的リテラシーも直前の6位から5位に、科学的リテラシーも5位から2位に上がった。韓国も読解力で4位、数学的リテラシーと科学的リテラシーではそれぞれ6位と5位に入るなど、最上位圏に付けた。なおシンガポールが3部門でいずれも1位となった。
東アジア諸国が善戦する中、特に日本の飛躍が目を引いた。コロナウイルスによるパンデミックで、ほとんどの国が学校の授業に支障を来し、学力低下が現実化する中、順位を大幅にアップさせたためだ。PISAとは、各国の満15歳(韓国では高校1年生)を対象に3年ごとに実施される試験で、読解力、数学的リテラシー、科学的リテラシーの3科目から構成されているほか、最も信頼性のある青少年学力評価として知られている。もともと2021年に行われる予定だったが、コロナ禍の余波により延期され、昨年実施された。81カ国から69万人が参加した。
日本の躍進はコロナウイルスによるパンデミック期間中に休校したりオンライン授業に切り替えたりしたほとんどの国とは異なり、できる限り休校を避け、正常な授業を進めた政策のおかげだと日本のメディアは分析した。実際コロナ禍に全国の学校のうち「3カ月以上休校」した学校の占める割合を調査したところ、日本は15.5%と、OECD平均(50.3%)よりもはるかに低かった。一方、日本と違って3カ月以上休んだ学校の割合の高いドイツ(71.3%)やオランダ(63.7%)をはじめとする大半の欧州諸国は、今回のPISAの結果で軒並み下落基調を示した。
日本の中学、高校は、コロナウイルスの拡散でやむを得ず休校したとしても、生徒たちに図書館を開放したり、学習プリントを伝達したりしたケースが多かった。こうした政策は、その他の国と比べて家庭環境など外部要因による影響が比較的少ない、均等な成績上昇につながった。親の学歴、職業、資産によって分類された4グループのうち、最上位グループで成績優秀者(上位3分の1)の占める割合(38.8%)が高かったが、最下位グループでも10人に1人の割合(10.2%)で成績優秀者を輩出していた。これは、OECD平均で集計した最下位グループ内の成績優秀者の占める割合(2.4%)の4倍に上る結果だ。
お茶の水女子大学の耳塚寛明名誉教授(教育社会学)は「家庭環境の悪い生徒は学校以外で学ぶ機会が不足し、休校が長引けば、そのまま学力低下へとつながってしまう」と説明する。