ガザ地区のパレスチナ武装勢力ハマスがイスラエル軍との戦闘で崩壊に向かっている。イスラエルの現地メディアが9日(現地時間)に一斉に報じた。ガザ地区では戦闘中にイスラエル軍に投降する戦闘員の数が増え、民間人によるハマスへの抵抗も広がっているという。ハマスの指揮官らは相次いで射殺され、組織を掌握する力が弱まっている上に、備蓄品なども底を突き始めたためハマスの士気が大きく低下しているようだ。
つい先日もSNS(交流サイト)にハマス戦闘員とみられる男たちが下着姿で膝を突き、列を成してイスラエル軍の指示を受ける様子を撮影した写真が公開された。イスラエルの日刊紙タイムズ・オブ・イスラエルは「彼らの多くが市街戦中に降伏した戦闘員だ」「このような形で、ここ数日で200人以上のハマス戦闘員が捕虜になった」と報じた。
イスラエル軍のハガリ報道官は「ハマスの多くのテロリストが徐々に武器と装備を引き渡し投降している」と伝えた。ハガリ報道官によると、戦闘員らは捕虜として尋問を受ける際に「(ハマス)幹部らは現場の困難な状況について全く理解していない」と述べたという。イスラエルのガラント国防相はこのような現状を根拠に「ハマス崩壊の徴候が出始めている」との見方を示した。40日以上にわたり続いた地上戦で指揮系統が途絶え、トンネル内に孤立しているハマス戦闘員が増加している上に、弾薬や食料などの備蓄も底を突き始めたことから戦闘員らは投降を選択しているという。イスラエル軍はこれまで「ハマスの50人以上の幹部と数百人の指揮官を射殺した」と主張してきた。
ガザ地区の住民もこれまで自分たちを統治してきたハマスに対して露骨に敵対的な態度を取る現状が伝えられている。現地の日刊紙ハレツは「つい先日もSNSにハマス戦闘員に石を投げ、大声で抗議するガザ地区住民の動画が相次いで投稿された」と伝えた。ハマス戦闘員が病院で列に並んでいた患者たちを押しのけて先に治療を受けようとしたり、民間人向けの救援物資を横取りしたりするなど住民を苦しめるケースが増えているため、住民はハマスに対して強い敵対感情を持つようになったという。今月7日にはガザ地区南部のラファ周辺で正体不明のグループが救援物資を積んだトラックを襲う事件が発生した。住民がこれを阻止したため犯人らは銃を撃ちながら威嚇した。イスラエルのメディアは「この事件の犯行グループはハマス戦闘員だ」との見方を伝えている。
一方でイスラエル国防省のある幹部は米ネットメディア「アクシオス」の取材に「イスラエル軍によるガザ地区南部への攻勢は今後3-4週間は続くだろう」「米国はイスラエルによる激しい全面的な戦闘(ガザ地区での地上戦)が今月中に終わることを望んでいるが、イスラエルの目標は1月末までだ」と説明した。
パリ=チョン・チョルファン特派員