【ソウル聯合ニュース】韓国政府が、2024年に外国人観光客2000万人を誘致し、観光収入245億ドル(約3兆5200億円)を達成する目標を掲げた。目標値は過去最高の記録を打ち立てた19年(外国人客1750万人、観光収入207億ドル)を上回る。政府は8日、南西部の光州で韓悳洙(ハン・ドクス)首相主宰の国家観光戦略会議を開き、「観光輸出革新戦略」を確定した。
◇観光の利便性向上図る 大型イベントも相次ぎ開催
目標達成に向け、政府は出入国やショッピング、交通面などの利便性を大幅に高める。中国客に限って一時的に適用していた団体電子ビザ(査証)の手数料免除をベトナム、フィリピン、インドネシアにも適用し、期限も来年までに延長する。外国人観光客が韓国各地の「事後免税店」で利用できる物品購入時の付加価値税(消費税に相当)即時還付の上限を現行の2倍に引き上げる。
23~24年の「韓国訪問の年」に合わせ、来年は1~2月にコリアグランドセール、6月にコリアビューティーフェスティバル、9月に大型韓流フェスティバルを開催する予定だ。また、QRコード決済のゼロペイの加盟店を180万店まで増やし、民間と協力して外国人観光客専用のモビリティーアプリを開発する。
来年は韓国観光のPRイベント「K観光ロードショー」の開催地を25都市に広げ、スウェーデンやニュージーランドなど10カ国に韓国観光の広報拠点を設置する。
◇観光業への人材供給拡大 「高級観光」育成も
人手不足にあえぐ観光業界への人材供給を増やし、韓国観光の品質改善も図る。
試験事業を経てホテル・コンドミニアム業に対する外国人雇用許可制(E9ビザ)の導入を推進し、ホテルのフロント係といった準専門人材の特定活動ビザ(E7)発給基準も緩和する。
高級観光の育成に向け医療観光ビザの発給基準を緩和するとともに、ソウル郊外の仁川国際空港エリアに開業した複合リゾート、インスパイアと連携した滞在客・乗り換え客向けの観光プログラムを開発する。
また、観光客相手のぼったくりの根絶に向け、国民が参加する合同点検団を新たに設ける。
◇地方観光インフラ拡充 南部圏の開発事業本格化
政府は地方観光のインフラ拡充に向け、10年間の長期プロジェクトとなる「南部圏広域観光開発」事業を来年から本格化させる。釜山、光州、蔚山、全羅南道、慶尚南道に3兆ウォン(約3300億円)を投じ、圏域ごとに滞在・体験型の観光名所を造成するなどして「K観光休養ベルト」を構築することが事業の柱だ。
また、巨文島、白○島(○=令に羽)、鬱陵島など各地の島に4年間で各100億ウォン程度を投じ、「K観光島」を開発する。
韓首相は会議で、今年は4年ぶりに外国人観光客1000万人以上を達成する見込みだとし、「観光市場が回復をみせているなか、来年は観光業界が過去最高の成果を収められるよう政府が総力を挙げる必要がある」と述べた。そのうえで、政府と自治体、観光業界が緊密に協力し、会議で議論した戦略をスピーディーに実行してほしいと指示した。