中国とEUは今回の会談前から「中国に対する巨額の貿易赤字」「ハイテク技術の輸出規制」「中国製電気自動車に対する補助金調査」など多くの懸案で意見の違いが表面化していた。EUは4000億ユーロ(約62兆円)に上る中国との貿易赤字問題も正面から取り上げた。EUの中国に対する貿易赤字は2018年から急速に増加し、昨年も前年比で58%の大幅増を記録した。中でも中国製電気自動車はここ2-3年EU域内でのシェアが約2倍に増加したが、これについてEUは「中国政府が違法に補助金を支給している」との疑惑を指摘し9月から調査を開始している。
これに対して中国は「中国からのEU向け輸出の3分の1は中国で活動するEU企業によるもの」「補助金に対する調査やハイテク技術の輸出規制は米国による中国封じ込めに迎合する保護主義政策だ」などと非難している。双方はウクライナとガザ地区の二つの戦争についても互いに譲ろうとしない。EUは中国に対してロシア制裁への協力を求めているが、習主席はロシアのプーチン大統領との緊密な関係を維持している。EUはさらに北朝鮮によるロシアへの武器提供への懸念も中国に伝えたい考えだ。イスラエルとパレスチナ武装勢力ハマスによる戦闘でも、欧州は中東での平和維持のため中国の積極的な関与を求めている。
EUは今年に入って対中政策を大きく見直しているが、今回の会談はそのような流れの中で実現した。中国と最も緊密な関係にあったドイツ政府は今年7月に初めて「包括的対中戦略」を議決し、対中依存度を抑える方針を明確にした。例えばドイツでは原材料の自給自足に向けた努力も続いている。英フィナンシャル・タイムズによると、ドイツの原材料メーカーDeutsche Flussspatはこれまで27年間閉鎖してきたKafersteige鉱山を再開し、2029年までに年間約10万トンの蛍石を採掘する計画を進めている。蛍石はリチウムと共に電気自動車用のバッテリーに使用され、ドイツもそのほとんどを中国から輸入している。EUは30年までに鉱物資源などの中国依存度を下げるため新たな法律の制定に向け準備している。
北京=イ・ボルチャン特派員