強制徴用、「第三者弁済」の裁判所供託を許容せよ【寄稿】

 韓国大法院(最高裁に相当)は2018年、日帝強制徴用被害者らの個人的請求権は韓日間の請求権協定で消滅していないと判断し、日本企業の反人道的違法行為による損害賠償請求権を認めた。その後、行政安全部(省に相当)傘下の日帝強制動員被害者支援財団は、大法院判決を受けた強制徴用被害者らに慰謝料を代理支給することとした。被害者15人のうち11人には、財団の「第三者弁済」という方法で慰謝料が支払われたが、残りの4人または遺族は受領を拒否し、財団は弁済供託を進めた。

【グラフィック】徴用工問題 第3者弁済の現状

 ところが裁判所の供託官は、被害者である債権者の「反対の意思表示」を理由に供託を受理せず、結局訴訟にまで至った。最近、一審の裁判所は、供託を受け入れなかったのは正当だと判決した。

 日帝強制徴用で被害に遭われた方々については、韓国国民の一人として非常に残念な気持ちがある。被害者の方々が経験した深刻な精神的苦痛は容易には癒え難い問題だという点にも、深く共感する。

 しかし今回の判決は、あまりに政治的な判断が介入したものであって、第三者の弁済供託事案について法的安定性も具体的妥当性も確保できておらず、韓国の法体系と食い違う結論を下した-という批判を免れ難いと思う。

 韓国の法体系は、精神的苦痛による損害を貨幣価値で測定することはできないとしつつも、慰謝料債権は金銭で賠償することになっている。精神的苦痛による不快さ、つらさなどを、賠償金銭を通した安楽感、便利さなどで相殺することになっているのだ。

 慰謝料債務は金を出す金銭債務であるから、「債務の弁済は第三者でも可能」という韓国民法第469条第1項に基づき第三者による弁済が可能だ。一審は、被害者を心理的に満足させる慰謝料の事実上の機能に着眼し、被害者が拒絶するのであれば第三者が弁済したり供託したりすることはできない、と判示したものとみられる。しかし、加害者でなくとも、誰であろうと被害者に慰謝料を支払って被害者の精神的苦痛を相殺し得るというのが韓国の法体系に符合する解釈だ。そしてこれは、慰謝料債権を他の人間に譲渡したり相続したりすることを認め、被害者ではない人物も慰謝料を受け取れるようにしている現行の韓国の法体系にも符合している。慰謝料に対する第三者弁済を制限すべき理由は全くなく、被害者が反対しているケースだからといって第三者弁済が禁じられるとは言えない。

 弁済供託制度の本質は、債権者が債務弁済の受領を拒絶するとき、債務者または第三者が債務弁済できるようにすることだ。ところが一審の裁判所は、債権者が債務弁済の受領を拒絶しているから供託は受理できない、と判示した。

 もちろん、被害者の方々が受けた心の傷の大きさを考慮すると、その傷は癒やされておらず、慰謝料を直接受領するのを拒否することまでは妨げられないだろう。だが供託制度の本質からすると、慰謝料債権の受領を拒絶する被害者の方々に対する弁済手段である供託は、許容されるべきなのだ。

朴秀坤(パク・スゴン)慶煕大学法学専門大学院教授

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