ジュエ氏の登場が相次いだことで、韓国の北朝鮮専門家らは徐々に「キム・ジュエ後継者説」の可能性に注目するようになった。韓国与党・国民の力の太永浩(テ・ヨンホ)議員はフェイスブックに「金正恩氏の娘を人工衛星打ち上げ成功と共に偶像化していることが事実であれば、北朝鮮指導部の最高位層で後継者に任命する内部の手続きが終わったことを意味する」「北朝鮮の基準や常識から考えてもあまりに先走り過ぎだが、北朝鮮住民も金正恩氏の健康状態に問題が生じたため、後継者の任命を急いだと判断するはずだ」との見方を示した。
韓国情報機関のある幹部OBは「これまで北朝鮮がキム・ジュエを表に出した状況から考えると、金正恩氏と李雪主氏の間に息子は生まれなかったようだ」「キム・ジュエを幼い時から登場させることで、後継者になるための準備期間をそれだけ長くすることができ、『娘』を前面に出すことへの住民の拒否反応を和らげ、自然に受け入れさせる効果を狙ったのかもしれない」と予想した。韓国統一部(省に相当)のある幹部OBは「過去には金正日(キム・ジョンイル)総書記が死んだ時に備え、妹の金敬姫(キム・ギョンヒ)氏がその役割を継承できるナンバー2の立場となった前例がある」「白頭血統が重要なのであり、男女の区分は重要ではないのだろう」と説明した。
その一方で今なお家父長的な文化が強い北朝鮮社会の特性から考えると、キム・ジュエ氏が後継者となる可能性は低いとの見方も根強い。国家情報院のあるOBは「キム・ジュエを登場させる北朝鮮メディアの報道が相次いでいるが、これには娘を愛する金正恩氏に幹部らがへつらうこと以上の意味はない」と指摘した。NK知識人連帯の金興光(キム・フングァン)代表も「北朝鮮ではまだ女性指導者などあり得ないし、まだ40代前の金正恩氏の若さを考えると、後継者について語ることも考えられない」「キム・ジュエは金正恩氏の『イメージ政治』の手段に過ぎない」との見方を示した。
キム・ミンソ記者