韓国国会では11月30日、中国の脱北者強制送還中止のための決議案が採択された。
同日、ソウル・汝矣島の国会で行われた本会議で、「中国の脱北者強制送還中止要求決議案」が在籍議員260人のうち賛成253人、棄権7人で可決された。国会で中国による脱北者の強制送還中止を求める内容の決議案が可決されたのは2011年、2012年に続き今回が3回目だ。
棄権したのは尹美香(ユン・ミヒャン)=無所属=、姜聖熙(カン・ソンヒ)=進歩党=、姜恩美(カン・ウンミ)=正義党=、金禎鎬(キム・ジョンホ)、閔ヒョン培(ミン・ヒョンベ)、白恵蓮(ペク・ヘリョン)、辛正勲(シン・ジョンフン)=以上、共に民主党=の7議員だ。
尹美香議員は、慰安婦被害者の支援金横領によりこのほど二審で懲役1年6月の判決を受けた。また、姜聖熙議員が所属する進歩党は、憲法裁判所で違憲政党だとの判決が下り、解散した統合進歩党の後身だ。辛正勲議員は1985年に発生したソウル米国文化院占拠・立てこもり事件で約3年間収監されている。
今回の決議案の核心は、中国政府に対し、脱北者の強制送還を直ちに中止するよう要求することだ。また、中国政府が脱北者を難民と認め、韓国や第三国に移動できるよう最大限の協力を求めるという内容も盛り込まれている。
与野党は決議案を通じ、国際機関に対して脱北者の強制送還中止のため積極的な努力を促すことにした。韓国政府に対しては、脱北者の強制送還問題について関係国と国際社会を対象に、あらゆる外交的努力をするよう要請するという内容になっている。
与党・国民の力の朴正河(パク・ジョンハ)首席報道官は「中国政府に対する脱北者強制送還中止要求は、政治という次元を越えて人間に対する基本的な礼儀だが、7人の議員はこの決議案に対して棄権または在席中であるのにもかかわらず表決に参加しなかった。これは強制送還という深刻な人権じゅうりんに同調したのも同然の無道さだ」と批判した。
決議案を代表発議した崔在亨(チェ・ジェヒョン)議員=国民の力=は「国会が憲法上、韓国国民である脱北者を保護するための最小限の責務を履行したことを幸いに思う。中国政府が韓国国会の要求を受け入れて脱北者の強制送還を中止し、脱北者の意思によって韓国または第三国に安全に移動できるよう協力することを期待する」と述べた。
ヤン・ジヘ記者