こうした中国の全方位的圧迫に、リトアニアは全く動じなかった。2021年12月に駐中大使館の職員全員を本国へ撤収させ、中国の制裁を「WTOの規則に違反する不当な脅迫」だとして欧州連合(EU)の共同対応を求めた。台湾との関係は、これ見よがしにむしろ強化した。1年後には、台湾に自国代表部を開いた。今年1月にはリトアニア議員代表団が台湾を訪問して蔡英文総統と会うなど、高官級交流を続けた。今年9月には台南に台湾・リトアニア超高速レーザー開発センターをオープンし、10月にはリトアニア立法部トップのビクトリア・チュミリーテニールセン議長が台湾立法院(国会に相当)で演説した。
リトアニアに、中国発の打撃がないわけではなかった。ギターナス・ナウセーダ大統領は今年6月、本紙のインタビューで「対中輸出は実に80%も減少して大きな苦痛に直面したが、危機から脱した。特定国に過度に依存しないサプライチェーンの多角化は極めて重要だ」と語った。しかし中国は、米中競争の中で欧州との関係改善が急務となり、リトアニアと台湾の関係が深まるや、経済報復を撤回したものと分析されている。
第2次世界大戦以来ソ連に併合されるなど、長年にわたって外部勢力の侵奪を経験してきたリトアニアは、ソ連時代の1990年3月に独立を宣言した。これは、ソ連崩壊の始まりを告げるバルト3国(ラトビア・エストニア・リトアニア)の対ソ抗争につながった。ソ連崩壊で主権を回復した後、NATOとEUに加盟した。ロシアのウクライナ侵攻後は積極的にロシア制裁とウクライナ支援に乗り出した。今年7月には韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領も出席するNATO首脳会議がリトアニアで開かれた。
ランズベルギス外相は、両国関係の雪解けのため中国に屈従はしなかった、と強調した。ランズベルギス外相は、リトアニアに設立された台湾代表部の名称は変わらないだろうと強調し「台湾代表部問題は中国と議論すべき部分ではない」とした。リトアニアは台湾との経済協力強化に伴う利益も享受している。ラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」によると、最近2年間で台湾とリトアニアの貿易規模は50%増え、リトアニアのIT企業テルトニカ(Teltonika)は2027年までに台湾の技術を利用して半導体を生産する協約を台湾の研究所と結んだ。
北京=イ・ボルチャン特派員、キム・ナヨン記者