【ソウル聯合ニュース】2018年6月に実施された統一地方選の蔚山市長選に文在寅(ムン・ジェイン)前政権の大統領府が介入したとされる事件で公職選挙法違反などの罪に問われた宋哲鎬(ソン・チョルホ)前蔚山市長と最大野党「共に民主党」の黄雲夏(ファン・ウンハ)国会議員の判決公判が29日、ソウル中央地裁であり、地裁は両被告共に懲役3年の実刑判決を言い渡した。起訴から約3年10カ月で裁判所の判断が示された。
宋被告には公職選挙法違反の罪で懲役3年、黄被告には公職選挙法違反の罪で懲役2年6カ月、職権乱用の罪で懲役6カ月の計懲役3年が言い渡された。
地裁は両被告について、証拠隠滅や逃亡の懸念はないとして法廷での拘束はしなかった。
地裁は「警察組織と大統領秘書室の公的機能を自分たちの政治的利益のために私的に利用して投票権行使に影響を及ぼそうとした選挙介入行為は罪責が非常に重い」とし「厳重な処罰で二度とこのようなことが起きないようにするためという公益事由が非常に大きい」と判決理由を説明した。
起訴状などによると、宋被告は17年9月、蔚山地方警察庁長だった黄被告に対し、現職の蔚山市長だった金起炫(キム・ギヒョン)国会議員(与党「国民の力」代表)の捜査を依頼した。黄被告は大統領府から金氏の不正に関する情報を受け取って捜査を行ったほか、職権を乱用して捜査に消極的な警察官に対し不当な人事措置を取った。これらはすべて有罪と認められた。
同事件を巡っては20年1月29日に検察が起訴したが、公判準備手続きに1年以上かかり、21年5月から2年以上にわたり公判が行われた。
公職選挙法違反の罪で罰金100万ウォン(約11万円)以上の刑が確定すれば、当選が無効になるが、宋被告は任期をすでに終えて退任している。また国会議員は、犯罪の内容にかかわらず禁錮以上の刑(執行猶予を含む)が確定すれば国会法と公職選挙法により失職するが、黄被告の国会議員の任期が終わる来年5月までに刑が確定する可能性は低いとみられる。