高齢者だからといって、全ての保険商品に加入できないわけではない。最近では生命保険各社が、平均寿命の延びに合わせて高齢者でも加入できる保険を相次いで発売している。しかし問題は、高齢者が加入できる保険商品は保険料が非常に高いことだ。また、疾病保険の場合、高齢者は保険加入の審査段階で断られる可能性も高い。
保険業界では「高齢になればなるほど保険金を支給する割合が高くなるため、高齢者については加入を拒否するか、または保険料を高く設定するほかない」との声が聞かれる。保険開発院による生命保険関連の年齢別統計を見ると、2021年現在、がんの手術は60-69歳が2万2732件で、30-39歳(4039件)の5.6倍に達する。70歳以上のがん手術も7031件で30代よりはるかに多かった。
■米国では「100歳満期をさらに延長してほしい」と訴訟も
高齢者の「保険の崖」は韓国だけの問題ではない。韓国よりも先に高齢社会を迎えた米国では、100歳の老人が「保険契約時に満期を100歳に設定したが、これを死亡時まで延長してほしい」という訴訟も起きている。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、2017年に100歳になったゲリー・レビンさんは、生命保険会社「トランスアメリカ」を相手取り、「保険会社は保険を販売した当時、分かっていながら満期の年齢を異常に低く設定した。販売時、生命保険が一生涯保障してくれるかのように誤ったPRをした」と訴訟を提起した。しかし裁判所は、契約当時の保険約款を根拠にm保険会社側が正しいとの判断を示し、原告の訴えを退けた。
WSJは「2000年初めから半ばにかけて販売された生命保険の標準満期年齢(100歳)は、かつては特に問題にならなかったが、100歳以上生きる人が非常に増え、米国の生命保険業界にとって新たな『頭痛の種』となっている」と指摘した。
ハン・イェナ記者