薬物依存症の専門病院が不足する韓国…「入院待ちの3カ月で再び薬物に溺れた」

民間のリハビリセンターで薬物依存症患者が語った話とは

 薬物依存症の専門病院だけでなく、専門の医療スタッフも不足している。楊州のリハビリセンターを利用している依存症患者は、病院で入院治療を受け始めて3カ月で退院を勧告された。この患者は「病院に患者があふれているため、院長によるカウンセリングは1週間に1回、それもわずか10分だった」として「カウンセリングで本音をさらけ出すのは困難だった」と話した。薬物依存症のリハビリ病院で働こうという専門医もなかなか見つからない。

 薬物依存症の治療で最も大切なことは、自ら「我慢」することだ。禁断症状の一つである不眠の症状が出ると、睡眠剤を処方する以外、医学的にはこれといった手立てがないという。「薬物を断ち切らなければならない」という強い信念を植え付けて運動などをさせるリハビリプログラムが重要だ。薬物使用事犯として収監されれば、刑務所内でリハビリ治療を受けなければならない。しかし、ある薬物依存症患者は「薬物事犯が1カ所に集められていると『バレずに使用する方法』『捕まらずに流通させる方法』などの情報交換が行われるケースも多い」と話した。特定の地域だけで薬物を供給・使用していた犯人が、別の地域の薬物事犯と知り合い、活動地域が「全国区」になるケースもあるという。

 収監される薬物使用事犯が増えていることを受け、法務部(省に相当、以下同じ)は今年6月、矯正本部内に「薬物事犯リハビリチーム」を立ち上げ、薬物依存症の治療プログラムなどを開発している。今年9月からは、治療の意志が強い収監者に対し、160時間の集中リハビリプログラムを運用している。保健福祉部は、薬物依存症に対する入院費と治療費の支援額を増やし、薬物依存症専門病院の負担を軽減する計画だ。薬物捜査チームの関係者は「最近、薬物使用事犯の逮捕が急増しているが、薬物依存症患者は刑務所に入れるよりも治療とリハビリの方が重要だ」として「執行猶予となって釈放された薬物使用事犯が、治療を受けられる病院がなくて再び薬物に手を出すケースが頻繁に起きている」と指摘した。

チョ・ユミ記者

【表】韓国薬物事犯摘発件数と薬物依存症専門病院患者数の推移

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