HD現代重工業はフィリピンのスービック造船所の設備を借用し、これまでにフィリピンに輸出した軍艦の修理を行う計画だ。メンテナンス事業への進出だが、今後の新造船事業拡大、さらにはスービック造船所の買収説まで取り沙汰されている。ただ、大宇造船海洋の中国・山東造船所、STX造船海洋の中国・大連造船所、韓進重工業のフィリピン・スービック造船所など数千億~数兆ウォン規模の海外投資失敗を繰り返すべきではないとの懸念もある。2000年代初めに好況を迎え、韓国造船各社は現地の安価な労働力で人件費を節減するため、海外造船所に大規模投資を行ったが、生産性は国内の造船所に比べ半分程度にとどまった。熟練工が極度に不足していた。
■ベトナムで合弁成功例…現地技術者の教育強化
中国・フィリピンでの失敗例とは異なり、HD現代重工業の系列企業である現代ベトナム造船は成功例として挙げられる。1996年、現代尾浦造船とベトナム国営の合弁会社として設立された現代ベトナム造船は修理・改造事業を行い、2000年代後半に新造船事業に転換した。他の海外造船所が生産性低下で廃業に向かう中、現代尾浦造船から派遣されたエンジニア60人余りが常駐し、生産工程全般に韓国国内と同じ品質管理体系を採用した。その結果、ベトナムは造船業界で世界5位の国に成長し、現代ベトナム造船がこのうちシェア約74%を握る。業績は好調で、昨年700トンの巨大クレーンを新設し、今年の売上目標は約5億4380万ドル(約800億円)だ。
フィリピンのスービック造船所で軍艦の保守・補修事業を検討しているHD現代重工業は、フィリピンの技術者60人余りを韓国・蔚山に招き、一緒に働くことで技術ノウハウを共有する。一部は既に投入されており、年末までに人員を増やす計画だ。同社関係者は「海外生産拠点が国内と同様の水準の技術力を維持することがカギだ」と話した。サウジ合弁造船所IMIにも今年末、エンジニア100人余りが派遣される予定だ。
李貞九(イ・ジョング)記者