4年前に発足し、先月まで企業などから総額44億ウォン(約5億円)の寄付金を集めてきた「社団法人国連ハビタット韓国委員会」が解散となった。この団体は発足時に文在寅(ムン・ジェイン)前大統領から祝電まで受け取っていたが、国連機関であると偽ったことが問題となり、結局解散となった。法人設立許可の権限を持つ国会事務処は設立許可を取り消し、また団体の告発も検討しているという。
【写真】愛犬と一緒に太陽を見つめる文前大統領(本人インスタグラムより)
団体は文在寅政権で初代青瓦台(韓国大統領府)報道官だった朴洙賢(パク・スヒョン)元国会議員を会長として2019年11月に発足した。発足式には文喜相(ムン・ヒサン)国会議長(以下、当時の職責)、兪銀恵(ユ・ウネ)副首相、宋永吉(ソン・ヨンギル)議員、洪永杓(ホン・ヨンピョ)議員、朴智元(パク・チウォン)議員ら野党系の大物政治家が出席し、国連のロゴを背に団体のシンボルである青いうちわを開きながら記念写真を撮影した。文大統領は祝電で「国連ハビタットとしてはじめての単一国家での機関が韓国で誕生した」「発足に向けご尽力された朴洙賢委員長と関係者の皆様に深く感謝申し上げる」と伝えた。
団体はホームページに大統領からの祝電や国連のロゴを掲載し、企業などから寄付金を集めた。暗号資産の取引所を運営するトンナム、SH、ハナ銀行、親韓金融、現代自動車、韓国航空公社、農協などが4年間に総額4億391万ウォン(約4624万円)を拠出した。団体はこの資金を主に韓国国内でのイベント開催や国際的イベントへの出張費、人件費、メディアへの広告費などとして使った。
ところが今年8月になって「国連機関ではない」との疑惑が浮上した。韓国与党・国民の力の河泰慶(ハ・テギョン)議員が国会で「韓国委員会は国連ハビタット本部と契約をしていない状態で国連機関であると偽った」と暴露したのだ。
一連の指摘に団体は「今年10月に締結予定の国連ハビタット本部とのMOU(覚書)にロゴと名称使用に関する内容が必ず含まれるはずだ」と弁解した。MOU(Memorandom of Understanding)とは本契約前に締結する法的拘束力のない一種の仮契約あるいは協定だが、団体はそれさえもない状態で4年にわたり国連の名称とロゴを使用し、活動を続けてきたのだ。文字通り疑惑を自ら認める弁解だった。
その後団体が約束していた10月になってもMOUが締結されなかったため、国会事務処は今月2日に設立許可の取り消しを決めた。国会事務処は独自の調査を通じ、団体が国連ハビタット本部から正式な承認を受けていないこと、また法人の名称やロゴ使用に関する協定も締結していなかった事実を確認した。国会事務処はこれらの修正を3回要求したが、団体は実行しなかったという。本紙は団体の設立委員長で初代会長だった朴洙賢元議員から話を聞こうとしたが、連絡はつかなかった。
チェ・フンミン記者