パレスチナ支持のデモで会った人々は、ドイツ政府の態度に対して不満と共に裏切られたとの思いを打ち明けた。10月、アラブ人が多数居住している「ノイケルン」地区で会ったドイツ人のジャメさん(38)は、パレスチナ国旗のステッカーを張った携帯電話ケースとバッグを持って広場を歩き回った。ジャメさんは「警察の監視がひどいので、大きな国旗を持ち出す代わりにこういう形であってでも意志を表現したかった」とし「私はハマスによるイスラエルの民間人攻撃は誤っていると思う。だからといって、ガザ地区で起きている民間人虐殺を正当化はできない」と語った。別のパレスチナ出身の男性は「私もドイツ市民だが、自分の怒りは理解されていない」と語った。
過去史の反省についての、ドイツの態度は尊重に値する。しかし一方では、移民者が増え、同じ過去を共有しないドイツ人も多くなった。現在、ドイツの人口の28%ほどが移民出身だ。ドイツの日刊紙「ターゲスシュピーゲル」は「パレスチナ人、ベトナム人、トルコ人などドイツ移民者らがドイツの歴史に同じ態度を持つことを期待するのは非現実的」だとし「移民者らがなぜ、ドイツが600万人のユダヤ人を虐殺したことを反省せねばならないのか」と指摘した。
今回の戦争に対してドイツがどのような立場を取るべきかは、次第に一層複雑な議論になりつつある。こうした悩みはドイツだけの問題ではないだろう。10月に韓国の行政安全部(省に相当)が発表したところによれば、韓国は来年初頭に外国人の割合が5%を超え、アジアでは初めて、経済協力開発機構(OECD)基準での「多人種・多文化国家」になる可能性が高い。移民や難民の時代において、国家のアイデンティティーはいつも正答を見いだし難い問題だ。私たちは今、加害者であると同時に被害者になるジレンマの時代を生きている。
チェ・アリ記者