20カ月以上もロシアと戦争を続けているウクライナが、女性の入隊年齢の上限を引き上げて配属先の制限もなくすなど、女性兵力を拡充している。
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8日(現地時間)に米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が伝えたところによると、ウクライナ国防省は長期にわたる消耗戦で兵力の損失が大きいことから、女性兵士に対する幾つかの制限を段階的に撤廃した。女性も機関銃射手・戦車兵・狙撃手といった役割を担えるようにして、女性の入隊年齢の上限も、従来の40歳から男性と同じ60歳に引き上げた。
女性は義務徴集の対象ではないが、医療訓練を受けた女性の場合は徴兵の対象として登録すると定める法律も10月に施行された。戦争初期の時点では準軍事構成員として参加していた女性が、正規軍として活動できる道が拡大されたのだ。現在、ウクライナで軍服務中の女性はおよそ4万3000人。ロシアの侵攻前の2021年と比べるとおよそ40%増えている。この女性らの一部は、南東部の戦線で実際に戦闘に参加しているという。
女性の軍服務拡大は、非常に大きな兵力損失に伴うものだ。米国など西側がウクライナに先端兵器や弾薬を支援してはいるものの、これを運用する兵力はウクライナ国内で動員しなければならない。戦争初期に数十万人の男性が志願入隊したが、死傷者の規模が50万人を超えて戦争は小康状態に差し掛かり、徴集を避けようとする人も増えている状況だ。
女性の軍事訓練を支援する団体も生まれた。「ウクライナ・バルキュリア」は、女性も男性と同等に戦えることを目標に軍事訓練を提供する。11月の最初の週も、キーウ近郊の森ではおよそ20人の女性たちがカラシニコフ小銃の扱い方、ブービートラップの探知、手りゅう弾訓練などを終えた。いつか前線に立つようになれるという義務感で訓練に参加した人々だ。
戦闘訓練に参加した心理学者のオルラ・バフマトバさん(46)は「誰も塹壕(ざんごう)で戦いたいとは思わない。それは当然のこと」としつつ「でも私がやらなければ誰がやるのか」と語った。インスタグラムの広告を見て友人と共に訓練に参加した20代の金物屋の店員もいた。現在までにバルキュリアで訓練を修了した女性は200人ほどだ。
特に、未来の戦争の中心になると評価されているドローンの操縦に興味を感じる女性も多いという。ドローンの操縦は男女の身体的な差が影響しない分野だからだ。女性のドローン操縦士を養成する「ピロテシ・グループ」の創設者バレリー・ボロビク氏は「ドローンを操縦できる女性は、すぐ明日にでもドローンで砲兵射撃を誘導できるだろう」と語った。ボロビク氏は、戦争初期にこの団体を設立し、ファッションショーの主催者が女性ドローン操縦士の募集をサポートしたことで知られる。最初の修了者の中にはモデルや俳優もいたという。
ウクライナ国防省も、女性兵力を増やすため、体形に合う軍服を提供するなど服務環境の改善を進めている-とNYTは伝えた。
チェ・ヘスン記者