団体旅行再開も中国人客の回復鈍く 旅のスタイルも変化=韓国

【ソウル聯合ニュース】中国人の訪韓団体旅行が8月に再開したが、中国人客の回復が鈍く「特需」を期待していた旅行業界や小売業界は頭を抱えている。

 韓国観光公社によると、9月の訪韓中国人客は約26万4000人で、前月に比べ約4000人しか増えなかった。人数は新型コロナウイルス流行前の2019年9月の48.8%にとどまる。9月の訪韓外国人客数が19年同月の75.2%に回復したことを踏まえると、中国人客の回復は遅れているといえる。中国人客が外国人客に占める割合も、4年前の37.1%から24.0%に低下した。

 中国専門旅行会社の関係者は「9月には8日間の国慶節(建国記念日)連休(9月29~10月6日)があり、中国人客の訪韓が増えると期待したが、予想が外れた。中国本土の景気が良くないことや、韓中間の航空便が完全に回復していないことが影響したようだ」と話している。

 中国人の訪韓スタイルが団体旅行からMZ世代(1980年代初め~2000年代初め生まれ)中心の個人旅行に変わっていることも、特需を期待し難い理由のひとつに挙げられる。

 韓国観光公社の資料によると、中国のMZ世代は最低限のコストで短時間に多くの観光スポットを回る弾丸旅行を楽しむ傾向にある。一般的な観光地をめぐる旅行より、テーマのある体験型の旅を好むのも特徴だ。

 こうした個人旅行者は百貨店や免税店よりもSNS(交流サイト)で人気のレストランやスポットに足を運ぶケースが多いとされ、かつて中国人客のおかげで売り上げを大きく伸ばした免税店業界や化粧品業界は苦戦を強いられている。

 韓国免税店協会によると、国内免税店の外国人来店客数は9月に約63万8000人で今年最高となったが、これら外国人客による売上高は1兆805億ウォン(約1230億円)で、来店客数が31万5000人ほどだった今年3月の1兆257億ウォンと大きく変わらなかった。

 化粧品業界も今年7~9月期の業績が低迷した。アモーレパシフィックは同期の営業利益が173億ウォンで前年同期比8.2%減少し、LG生活健康の営業利益も1285億ウォンで32.4%の大幅減となった。

 業界からは、この機会に中国人の個人旅行者の特性を踏まえたマーケティング戦略を講じるべきとの指摘も上がる。

 中小ベンチャー企業研究院のキム・ミジョン副研究委員は関連報告書で「体験中心のニーズに見合った訪韓旅行商品を開発し、特定地域に集中した中国人客の消費の多角化を促すべきだ」と提言している。

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