中国包囲網の形成を図る日本…フィリピンとは派兵含む準軍事同盟を推進

岸田首相がフィリピンとマレーシア歴訪…沿岸監視レーダーなどを無償提供

中国包囲網の形成を図る日本…フィリピンとは派兵含む準軍事同盟を推進

 日本はフィリピンやマレーシアなど東南アジア諸国と外交面・軍事面での協力強化を通じ、中国の太平洋進出を阻止する「中国包囲網」を形成している。米国がウクライナ戦争やイスラエル・ハマス戦争で中国への対応に力を注げない状況が続く中、日本は「東南アジアの空白」を埋める役割を自ら果たそうとしているようだ。

【図】岸田首相が訪問したASEAN諸国

 日本の岸田文雄首相は3-5日にフィリピンとマレーシアを訪問し、フィリピンのマルコス・ジュニア大統領、マレーシアのアンワル首相と相次いで首脳会談を行った。NHKや読売新聞など日本の主要メディアが5日に一斉に報じた。岸田首相は3日にマルコス大統領との会談で、自衛隊とフィリピン軍部隊の相互往来をスムーズにする「円滑化協定(RAA)」の締結に向け近く交渉を開始することで一致したという。これは両国の軍隊が相手国に入国する際、ビザを免除し大量の武器や弾薬を搬入しやすくする協定で、事実上の準軍事同盟を意味する。RAAがあればフィリピンも日本も相手国周辺に直ちに兵力を派遣できる。日本は英国やオーストラリアとすでにRAAを締結しているため、フィリピンは3番目の締結国となる。

 岸田首相は5日にマレーシアのアンワル首相との会談で「両国関係を強化し、人間の尊厳が守られる世界をつくるために協力する」と述べた。NHKは「両国の外交・安全保障分野における対話を強化し、同時に日本はマレーシアの海上警備能力向上に必要な支援を行う見通し」と報じた。岸田首相は4日にフィリピン議会で演説し、自由で開かれたインド・太平洋の実現に向けた決意を表明した上で「国際社会を分断と対立ではなく協力の道へと導き、自由と法の支配を守り抜いていきたい」と訴えた。

 読売新聞は「岸田首相は昨年3月以降、東南アジア諸国を相次いで訪問し、首脳会談に力を入れている」とした上で「南シナ海で中国と対立を続ける東南アジア諸国と連携し、中国包囲網を形成する狙いがある」との見方を示した。岸田首相は昨年3月にカンボジア、4月にインドネシア、5月にベトナムとタイを立て続けに訪問し、各国で首脳会談を行ってきた。今年は5月にシンガポール、今回フィリピンとマレーシアを訪問した。ラオスとブルネイは先月日本の外相が訪問した。

 日本は外交的な修辞にとどまらず、直接の軍事支援も打診している。同じ価値観を共有する「同志国」に殺傷兵器ではなく防衛装備を無償で支援するものだ。日本は今年フィリピンに総額6億円相当の沿岸監視レーダー5基を提供した。今年の無償支援対象国はフィリピンとマレーシアで、来年はベトナムとインドネシアに拡大する計画だ。

 東南アジア各国の世論も日本に好意的だ。シンガポールのある研究機関が先日ASEAN(東南アジア諸国連合)の政府関係者や研究者を対象に行った「信頼できる国かどうか」を問う調査で日本は54.5%となり、29.5%の中国をはるかに上回った。これは米国(54.2%)とほぼ同じで、欧州連合(51%)よりも高かった。

東京=成好哲(ソン・ホチョル)特派員

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