韓流ファンが韓国を訪問するケースを含め、最近になってタイ人観光客が韓国入国を拒否されるケースが増加しており、タイの20代、30代の間で怒りが広がっている。タイ現地では2日(現地時間)、SNSのX(旧ツイッター)に複数のタイ人が韓国への入国を拒否された経験談や、これに関するハッシュタグ「韓国旅行禁止」がついたツイートが100万件に達した。タイのネットでは「韓国不買運動」を呼びかける動きも出始めている。
【写真】韓国入国審査にひっかかり、身柄を拘束されて強制送還されたタイの食品会社社長ワラポン・ピヤタンソムシンさん
現在タイと韓国はビザ免除協定を結んでいるため、タイ人は出国前にオンラインで電子旅行許可(K-ETA)を申請できる。これで許可を受ければ韓国入国の際に入国申告書の作成が免除され、専用ゲートを通じて直ちに入国できる。ところが最近になってタイ人がK-ETAで許可を受けられないケースや、許可を受けても入国審査で入国が拒否されるケースが相次ぎ、タイ人の間で不満が広がっている。
たとえば先月タイのあるインフルエンサーがK-ETAを受け韓国を訪問したところ、入国審査で引っかかり身柄を拘束されタイに送り返された。この人物はSNSで「これまで10回以上韓国を旅行したが、今回は何の説明もなく拘束され追放された」と主張した。すると他のタイ人たちも自らの経験として「韓国旅行禁止」のハッシュタグをつけSNSに相次いで掲載している。あるタイ人女性の「韓国には4回言ったが、往復の航空チケットとホテルまで予約したのに入国が拒否された」とのツイートは一瞬で900万回以上のアクセスを記録したという。
韓国を世界で最も好きな国の一つとしているタイでは一連の事態の影響で反韓感情も広がりはじめている。タイの若い世代からはたとえば太極旗(韓国の国旗)に「韓国旅行禁止」と書いた写真をSNSにアップし「韓国がタイ人を差別するのであれば、タイも韓国関連の消費をやめるべきだ」「韓国はもうさようなら、北朝鮮として残れ」などのツイートが相次いでいる。24歳の大学生ナッチャ・ウパマさんは「韓国はおそらくタイ人にとって最も旅行しにくい国だろう」「日本を4回旅行した時は何も不便を感じなかった。差別されてまで韓国に行きたくない」と訴えた。チャンティンティンさん(30)は「今年6月にK-ETAを申請したが拒否された」「身元が確実なのに拒否されびっくりしている」とツイートした。
タイの新聞ネーションは「愛情から憎悪に、タイ人が韓国に背を向けた理由」という見出しの記事で「タイ人による不法滞在が増えた影響で起こった問題」としながらも「すでに旅行の費用を支払った合法的な観光客まで入国が拒否されるケースが相次いでいるのは問題だ」と指摘した。韓国政府は今年4月から来年末まで米国、英国、日本など22カ国の観光客に対してK-ETAの発給を免除したが、タイがここから除外されたことも問題になっている。
韓国政府の一部からは「韓国国内の不法滞在外国人のうちタイ人の割合が圧倒的に高く、これがK-ETAや入国審査に影響したのでは」との見方が相次いでいる。昨年末の時点で不法滞在中の外国人41万1270人のうち、タイ人は14万7481人(35.9%)で最も多く、次いでベトナム人(7万8235人、19%)、中国人(6万3463人、15.4%)と続いている。
それでもタイ人の間で不満が広がっていることから、先月31日にタイのセター首相自ら「韓国でタイ国民の入国が拒否される問題が相次ぐことについて調査を行う」と明らかにした。この問題を受け韓国外交部(省に相当)は3日、張虎鎮(チャン・ホジン)第1次官がタイを訪問し、一連の問題で両国関係にマイナスの影響が出ないよう話し合いを進める考えを示した。
バンコク=ピョ・テジュン特派員、金隠仲(キム・ウンジュン)記者