■韓国文化界にはなおも封鎖…今年初めに生じた解除の兆しも、両国関係悪化で行方不明に
米国をはじめとする世界各国の歌手が中国文化当局の承認を得て公演を行っているが、韓国歌手の中国コンサートのニュースは依然として伝わってこない。ガールズグループBLACKPINKが今年5月にマカオでコンサートを開きはしたが、本土までは入れずにいる。在中の韓国文化界関係者は「中国当局は、本土に何かを入れる前、マカオなどを試験台として活用する傾向がある」とし「中国がBLACKPINKのマカオ公演を認めたのは、本土に韓国歌手を入れるかどうかを判断するためだったはずだが、結局本土市場はまだ開放されていない」と語った。
中国は公演市場を全面開放したが、韓国にだけは2017年のTHAAD(高高度防衛ミサイル)問題以降続いてきた「限韓令」を適用しているのだ。これを巡っては、今年に入って悪化した韓中関係の影響を排除できない、という分析がある。文化界関係者は「中国は今年の初め、韓国に文化市場を開放するため、韓国から輸入したドラマ・映画の放映を順次申請せよというシグナルを発した」とし「実際に複数の歌手の中国コンサートの話もあった」と語った。その上で「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の台湾関連の発言や米国国賓訪問の直後に話がぱたりと消えて、いまだに文化関連の封鎖は解かれていない」と付け加えた。
中国は韓中FTA第2段階の交渉でも、文化コンテンツ部門の自国市場開放に対して否定的な立場を示している。2015年12月に商品部門に限って発効した韓中FTAは、現在もサービス・投資部門の後続交渉が行われている。北京の外交消息筋は「習近平政権の発足後、中国は文化に対し非常に保守的な立場を見せている」とし「限韓令の基調がFTA第2段階交渉にも影響を及ぼしているとみられる」と語った。文化界関係者は「ドラマ、映画などはもちろん歌の歌詞に至るまで、韓国コンテンツは他国に比べ考慮すべき材料をかなり投げかけられており、政治的・社会的にデリケートな内容も多い」とし「韓流コンテンツの影響力を考えると、中国の立場からは、どうしても開放しづらいだろう」と述べた。
中国の公演市場は、2021年基準で3789億元(約7兆7500億円)規模に達する。文化界関係者は「中国でのコンサートは『桁違い』の利益を得ることができる」とし「中国でコンサートを開く場合、韓国国内の世論が心配という反応もあるが、業界では基本的に中国市場が開放されるのを引き続き待っている」と伝えた。
北京=イ・ユンジョン特派員