気候変動の影響で記録的な豪雨や台風が最近東アジアで相次いでいるが、韓国だけが過去5年、秋や冬の時期になっても翌年の治水対策を怠っていたことが分かった。洪水や土砂災害などの被害は毎年のように発生しているが、それでも「治水不感症」が影響してか次の夏になると再び大規模水害が繰り返されているのだ。
【写真】豪雨で吹き飛んだマンホールのふた、バスの床を突き破って車内に /慶尚南道
韓国環境部(省に相当)が27日に与党・国民の力の李周桓(イ・ジュファン)議員の事務所に提出した資料によると、2018年から今年まで韓国、日本、中国の3カ国ではいずれも集中豪雨や台風で大規模な洪水や土砂災害が起こった。日本と中国は夏が過ぎた頃から治水対策としてインフラの整備や補修を行うなど、政府次元で対策を進めているが、韓国だけは何の動きもなかったという。
日本は2018年7月の西日本豪雨と9月の台風上陸で各地で大規模土砂災害が発生した。これを受け2014年に安倍晋三首相(当時)の指示で発表した「国土強靱(きょうじん)化計画」を改めて見直し、河川や下水道などインフラの点検と整備を開始した。洪水などの危険性が高い全国2340カ所の河川を調べ、240カ所の鉄道の橋や六つの空港、病院や官公署など国の基盤施設でも排水設備を点検した。2020年3月には夏の集中豪雨に備え「流域治水プロジェクト」を進め、全国121水系の本流・支流・支川、雨水の貯水施設などを点検・整備した。それでも洪水や土砂災害が発生したため、同年11月に環境団体や地元の反対で中止となっていた川辺川ダム建設計画が再び進められている。
中国は2021年夏の大洪水後、翌年1月に「14・5(第14次5カ年)水安全保障計画」を発表し、25年までに40億立方メートルの貯水量を追加する河川流域での洪水防止対策を発表した。韓国の「4大河川事業」と同じく大規模河川本流の堤防建設を進め、支流や支川の管理も強化した。
これに対して韓国は2020年にソムジン江や栄山江などの流域で大規模な洪水が発生したにもかかわらず、治水対策は発表されず逆にせきの解体や「国家主導のダム建設中断」を宣言した。韓国環境部(省に相当)の関係者は「現政権発足後、4大河川のせきの正常化、新規のダム建設、老朽化した堤防の補修、河川のしゅんせつなど治水対策の見直しが行われている」と明らかにした。
パク・サンヒョン記者