北方限界線周辺を漂流する北朝鮮船舶「戻りたい」…韓国軍が食料と水を緊急支援

東海海上で韓国軍哨戒機が発見

 東海の北方限界線(NLL)近くの海上で29日、漂流中の北朝鮮船舶1隻を韓国軍の海上哨戒機が発見した。韓国軍は人道次元で飲料水と食料を緊急支援した。今月23日にNLL南側の束草沖合で北朝鮮の木造船1隻が韓国軍と海上警察に拿捕(だほ)され、乗っていた北朝鮮住民が帰順の意志を表明してから5日後のことだ。ただし今回は単に遭難したものとみられ、乗っていた住民は北朝鮮に戻る意志を伝えたという。

 韓国軍合同参謀本部によると、韓国軍海上哨戒機は同日午後2時16分ごろ、江原道高城郡の猪津港沖合200キロ、NLLの北約3キロの海上で漂流中の船舶を発見した。乗組員は白い大きなものを振り救助を求めたという。韓国軍は現場に警備艇を急きょ派遣し、ゴムボートで近づいて確認したところ、船舶が北朝鮮のものであることを確認した。

 船舶は全長十数メートルの小型の商船で、軍用ではないと推定されている。NLL以北のため韓国軍は乗組員の人数、また民間人か軍人かなど身分は調べなかったという。NLL周辺では北側であっても人道次元での活動は可能だ。

 乗組員らは韓国軍に「10日ほど漂流している。食料と飲料水を支援してほしい」と伝えた上で「北朝鮮に戻りたい」との意向を明確にしたという。韓国軍は人道次元から乗組員らにカップ飯、チョコバー、チョコパイなどの非常食と水を提供した。

 合同参謀本部は「遭難した船舶を救助できるよう、国連軍司令部と国際商船共通網を通じて北朝鮮側に状況を伝え、支援できるよう通知している」と明らかにした。合同参謀本部が今回の事件をメディアに先に公開した理由は、韓国メディアを通じて北朝鮮側に状況を伝える意図もあったようだ。通常だと韓国軍はホットラインがあり、また韓国政府は南北共同連絡事務所の連絡ルートを持つが、北朝鮮は今年4月7日からいずれも一方的に遮断したため連絡はできない状態だ。

 同日夜10時の時点でこの北朝鮮船舶はNLL北側に停泊しており、北朝鮮側が引き受けにやって来るまで待機している。今月24日に木造船で帰順した北朝鮮住民4人は現在、韓国政府による合同情報調査を受けている。

盧錫祚(ノ・ソクチョ)記者

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