安くて高品質? 「ミッションインポッシブル」が韓国手抜き工事の原因だ【寄稿】

 建築物が日増しに高層化、地下化する時代に建築士が代表を務める建築士事務所のみが建築設計を行えるという規制は時代錯誤だ。建築士はどこに所属していても建築物の設計ができなければならない。大規模建設会社が建築士(architect)はもちろん、土木、基盤、構造、機械、電気など各分野のエンジニアを従え、直接設計と施工ができなければならない。設計、施工、監理を能力がある単独企業に委ねるのか、切り離して発注するのかは、発注者の選択に任せるべきだ。権限の分離はけん制には役立つが、責任の分散を招く。施工経験の多い人材が設計にも参加し、設計した人材が施工にも関与する方が効率的であり、責任の転嫁、回避ができなくなるメリットもある。分離もけん制も米ベクテルのような世界的な建設会社を誕生させる範囲内でやろうという話だ。米国にない規制はひとまずすべて撤廃してみようではないか。

 長期間を要する人材育成においては問題がさらに深刻だ。能力があるエンジニアがまともな待遇を受けられないため、エンジニアを志す人が減っている。建築工学科、土木工学科を卒業して技術士試験を受けても合格率が低く、報酬も大したことはないため、能力がある若者が土木、建築を学ばなくなっている。このままでは韓国の建設業は人材不足で自ら沈滞を招くことになる。現場の労働者も安い外国人にますます依存しており、手抜き工事の一因になっている。人材対策が急がれる。

 建設会社とエンジニアリング会社の仕切りだけでなく、設計、施工、監理を仕切る規制を減らすとともに、低価格による発注、受注を防ぐ構造的、制度的改革が求められる。良質な発注者も低価格受注はしないという決意を持つ建設会社も必要だ。

朴炳元(パク・ピョンウォン)安民政策フォーラム理事長・韓国非営利組織評価院理事長

【写真】「鉄筋が入ってない」マンションに設置されたジャッキサポート

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