韓国政府 崩壊危機の医療革新戦略発表=地方の国立大病院を集中支援へ

【ソウル聯合ニュース】韓国政府は19日、地方の医師不足などによる医療崩壊の危機に対応するための「地域完結的必須医療革新戦略」を発表した。

 地方の国立大附属病院を「ビッグ5」と呼ばれるソウルの大手病院のレベルに育て、医療サービスや必須医療サービスを強化する。このため、地方の国立大病院に対する規制を緩和して医師の数や報酬を増やし、待遇を大幅に改善する。また全体の医師数を増やして必須医療分野への流入を誘導し、国立大病院などを必須医療の拠点とし、地方の医療機関との連携を強化する。

 韓国では診療時間前の医療機関に患者が列を作ることや、救急患者のたらい回しなどが問題視されており、このような問題を解消し、必須医療サービスの強化や地方の医療崩壊の阻止を目的とする。

 政府は、現在14市道の17カ所にある地方国立大病院の医療レベルを強化する。地方で暮らしている重い疾病を抱えた人はソウルの有名病院を訪れるケースが多いが、今後は各地方でも重症患者らが治療を受けられるようにする。保健福祉部の関係者は「地方ですべてを解決できるよう国立大病院の能力を首都圏の高いレベルの病院の水準まで引き上げることが何よりも重要だ」と述べた。

 韓国ではソウル大附属病院とセブランス病院、サムスンソウル病院、ソウル聖母病院、ソウル峨山病院が「ビッグ5」と呼ばれている。

 そのために政府は必須医療分野の教授の定員を大幅に増やし、人件費や定員などに関する規制を緩和する。これまで国立大病院の人件費は毎年1~2%増やされてきたが、そのため私立病院との報酬差が広がり、優秀な人材を確保するのが難しかった。

 社会的に必要ではるものの、収益性が低い必須医療センターに対する支援をさらに強化する。感染症の新たな大流行に備えるため、国立大病院中心の人材・病床対応体系を確立し、国立大病院と各地域の医療機関の連携も強化する。国立大病院が地域の必須医療資源の管理や供給網の確保を主導できるよう「圏域責任医療機関」としての権限を強化する方針だ。

 国立大病院の管轄は教育部から保健福祉部に移し、国立大病院を必須医療や人材養成などの拠点とする計画だ。

 政府は医師団体の強い要請を受けていた必須医療の医療報酬を引き上げる。

 経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位レベルにある人口あたりの医師数を増やし、必須医療サービスが行き届かない地域を減らすとともに、超高齢社会に備える。保健福祉部によると、2020年時点での韓国の医学部卒業者は人口10万人当たり7.2人で、OECDの平均13.6人の56%程度となっている。

 医師が地方の医療機関や、必須医療分野に定着するための制度も拡充する。医療事故などで紛争が発生した場合、患者側の救済とともに医療関係者の法的負担も減らしていく方針だ。

 曺圭鴻(チョ・ギュホン)保健福祉部長官はこの日の会見で、「地方の医療や必須医療サービスが崩壊する危機を克服するための大胆な保健医療改革はこれ以上先送りできない」とし、「すべての国民が必須医療をいつどこででも受けられるよう、改革を強力に推進していく」と述べた。

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